原英莉花決意「ジャンボ2世」目指す/インタビュー

短冊に「コロナ終息!! 皆が笑顔に」と「勝負を楽しんで まずは二勝目を!!」と七夕の願いを書き、笑顔を見せる原英莉花

女子ゴルフでツアー1勝の原英莉花(21=日本通運)が「ジャンボ2世」に名乗りを上げた。

神奈川県内で6日、国産農畜産物オフィシャルアンバサダーを務めるJA全農から差し入れを受けた後、日刊スポーツの取材に対応。ドライバーに磨きをかけ、師匠でツアー最多94勝の「ジャンボ」こと、尾崎将司をほうふつとさせる飛ばし屋を目指すことを誓った。今日7日の七夕にちなみ、短冊に新型コロナウイルス終息と早期の2勝目を願い事として記入。観客が戻る日と、成長した姿を思い描いた。

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173センチの長身、豪快なスイング、そして師匠は日本ゴルフ界のレジェンド・ジャンボ尾崎-。“飛ばし屋”の要素をいくつも備えた原が、満を持して「ジャンボ2世」を目指す決意を固めた。きっかけは6月29日まで行われた今季国内女子ツアー開幕戦、アース・モンダミン・カップ。優勝した渡辺彩香と2打差の5位だったが、最終日の14番パー5が転機だった。

原 ロングホールで狭いので、スプーンでもいいかなと思ったけど、勝負をかけたくてドライバーを握りました。でも右に行ってボギー。試合直後は「何で、あそこでドライバーを持っちゃったんだろう」と、くよくよしていました。でも最終日は(首位と7打差)17位からのスタート。伸ばすしかない状況の中、残り5ホールで「ここが勝負」と思って選んだので、今はしょうがないと思っています。追いかけている身なので、あそこでドライバーを選んで、バーディーチャンスにつけられるようにならないと。ドライバーに磨きをかけるよう頑張りたい。

結果を報告した際にかけられた師匠の言葉は、短かったが、原には響いた。

原 ドライバーのシャフトを試合前にいただいたので、それに対して「どうだったんだ?」と聞かれ「試合になると振り遅れが目立ちました」と言いました。そうしたら「トレーニングしているんだから振れ!」と。そのぐらいしかお言葉はいただいていません。

単純明快な「振れ」というアドバイスだったが、試合後の後悔やモヤモヤを吹き飛ばすには十分だった。オフは10日間もクラブを握らず「(ボールに)当たる気がしない」という感覚になるほど、体力と筋力強化に重点を置き“飛ばし屋”への下地はできていた。もともと昨年のドライバー平均飛距離は、20歳にしてツアー4位の253・33ヤード。自分を信じて振り抜けというメッセージに感じた。これまで以上に言葉が染み入り、小細工抜きのドライバー勝負という師匠と同じ道を選ぶ意識を強めた。

そんな大きな目標を見据えつつ、七夕にちなんだ今の願い事も短冊に書いた。「コロナ終息!! 皆が笑顔に」と「勝負を楽しんで まずは二勝目を!!」だ。

原 みんなが自由に笑顔で、日本に来ることができたり、日本から海外に行けたりという、普通だった生活が戻ってきてほしい。開幕戦は無観客でしたが、やっぱり雰囲気は全然違う。早くお客さんの前でプレーしたいし、勝負が好きだと気付きました。勝負のかかる1打が楽しいし、そこで実力を出すために練習している。その先に2勝目があるのだと思っています。

子どもの頃、七夕の短冊は「人に願い事を見られるのが嫌でした」。極力書くことを避けたり、本心ではないことを書いたり、といったことを繰り返したという。大人になり、今回は本心を書いたはずだったが、心の内にさらに目標を持っていることも打ち明けた。

原 本当は米ツアーのQT(予選会)を受けたいと思っていたのですが、今季は(新型コロナウイルス感染拡大の影響で)なくなってしまい…。ただ、日本でちゃんと勝って、自信をつけた状態で挑戦したい。

今年と来年が統合された今シーズンで賞金女王を争い、最速なら来年のQTを受けて再来年から米ツアーへ-。その途中には延期となった東京五輪もある。

原 可能性がゼロだったところから、ちょっとは出てきた。日本でやる五輪に出られたら、すごいこと。メダルなんか取ったら…。英雄ですね(笑い)。

渋野らと同じ98年度生まれ、逸材ぞろいの「黄金世代」と呼ばれる。師匠譲りのスケール感の大きさ、世界で戦う高い意識と覚悟を、ポジティブな性格が支え、同世代でも将来性は高い。今はまだツアー1勝。一歩ずつ、偉大な師匠の背中を追う。【高田文太】

■第1R前日は必ず「焼き肉&大盛りごはん」好物はハラミとタン

昨年からJA全農の国産農畜産物オフィシャルアンバサダーを務める原が、食のこだわりも明かした。各試合第1ラウンド前日は、必ず焼き肉と大盛りご飯。「好きなのはハラミとタンですね。全試合前に行くので、毎週水曜日か木曜日は焼き肉。おいしいお店があると週に2、3回行く時も(笑い)。食欲がなくなる夏場でも食事が楽しみ。大盛りご飯も必ず食べます。今は1杯ですが以前は何杯も。パンよりも断然、ご飯派です」と笑顔で話した。

一昨年までは、シーズン中に5キロ以上やせてしまうこともあった。だがJA全農のサポートを受け始めた昨年は、最高でも1キロしか減らなかったという。「5キロも落ちるとパワーもなくなって、イメージとのギャップに苦しんだので本当に大きいです」と現状に感謝する。今年2月、オーストラリアでの試合に出場した際も「白米を持って行って鍋で炊いたら、お米が立っておいしかった!」と、感激。ラウンド中も好物のパイナップルなどをほおばり、糖分を補給している。

◆原英莉花(はら・えりか)1999年(平11)2月15日、横浜市生まれ。10歳でゴルフを始め、湘南学院高から尾崎将司に師事。実質プロ1年目の18年は、最終QTランク117位から、下部ツアー2戦2勝などでツアー出場を増やし、賞金ランク38位で初シード獲得。プロテストは同年7月に2度目の挑戦で合格。昨年6月のリゾートトラスト・レディースでツアー初優勝し、昨年は賞金ランク14位。173センチ、58キロ。