若林舞衣子、母にささげるV「天国で喜んでくれていたらうれしい」

優勝し記念撮影に納まる、左から若林舞衣子、長男龍之介君、夫の佳和さん(撮影・柴田隆二)

<国内女子ゴルフツアー:GMO&サマンサ・カップ>◇最終日◇18日◇茨城・イーグルポイントGC(6657ヤード、パー72)◇賞金総額1億円(優勝1800万円)◇有観客開催

若林舞衣子(33=ヨネックス)が、19年4月の出産後初優勝を飾った。首位に1打差の2位から出て69で回り、通算15アンダー、201で並んだ野沢真央とのプレーオフを2ホール目で制した。昨年6月に産休から復帰。17年3月以来の通算4勝目は、初めて試合会場に連れてきた息子ら家族にささげる優勝となった。

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若林が必死に涙をこらえた。優勝インタビューで家族の話を聞かれると一気に目が潤んだ。6月末に72歳で亡くなった母久美子さん、初めてコースに連れてきた2歳の龍之介君、会場で見守った夫と姉、父。それぞれへの思いが浮かんだ。追加の質問をやんわり制すと、笑顔に戻って最後の記念撮影までこなした。

強い気持ちはプレーでも貫いた。首位で迎えた最終18番。「気持ちが入った分、強く打ってしまった」。得意のアプローチでミスが出てボギーとし、2週連続となったプレーオフへ。流れを渡しそうな状況で敗れた先週の経験が生きた。「あとから考えると(勝った)堀さんの気持ちが強かったのかなと思って。今週は同じ思いをしたくなかった」。2ホール目をバーディーとして決着。「張り詰めていた気持ちが解き放たれました」。自然とガッツポーズが出た。

先週大会の第3ラウンド1番から今大会最終ラウンドの13番まで85ホール連続ボギーなし。15年に申ジエが打ち立てた「81」を塗り替えた。「結婚、出産をしてもトップで戦えるんだと思ってもらいたい」と意気込んで戻ったツアーで、しっかりと背中を見せる勝利にもなった。

国内女子ツアーで出産後の勝利は6人目。会見では「試合後は(週明けの)夕飯の献立をいつも考えてます」と母としての一面も見せた。そんな自分を育ててくれた久美子さんへは「本当は生きているうちに見せてあげたかった。天国で喜んでくれていたらうれしいな」。強い母として、これからも戦い続ける。【松尾幸之介】

◆若林舞衣子(わかばやし・まいこ)1988年(昭63)6月9日、新潟・加茂市生まれ。開志学園高2年の05年世界ジュニアで団体、個人(15~17歳)2冠。07年プロテスト合格。16年3月に会社員の佳和さんと結婚、19年4月に長男龍之介くんを出産。165センチ、60キロ。

◆国内女子ツアーでの出産後の優勝◆ 若林は森口祐子、樋口久子、木村敏美、山岡明美、塩谷育代に続く6人目。「ママさんV」は2007年(平19)3月の木村以来

<若林舞衣子の優勝クラブ>▼1W=ヨネックス EZONE GT 455(シャフト=ヨネックス REXIS KAIZA-M2 5 ロフト9度、長さ45・75インチ)▼3W=テーラーメイド SIM2 MAX(15度)▼5W=同(18度)▼3U=ヨネックス EZONE XPG(19度)▼4U=同(22度)▼5U=同(25度)▼6U=同(28度)▼7I~PW=ヨネックス EZONE CB 5 01 フォージド▼ウェッジ=ヨネックス EZONE W501(52、58度)▼パター=テーラーメイド TPコレクション ハイドロブラスト ジュノ TB2 トラスセンター▼ボール=スリクソン Z-STA