【佐伯三貴】稲見強さの3要素「挫折」「ルーティーン」「流されない強さ」

国内メジャー初制覇の稲見は、優勝杯の重たさに「ちょっと休憩」と笑顔で肩に担ぐ(撮影・浅見桂子)

<国内女子ゴルフツアー:日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯>◇最終日◇12日◇茨城・静ヒルズCC(6680ヤード、パー72)◇賞金総額2億円(優勝3600万円)◇無観客開催

稲見萌寧(22=都築電気)が今季8勝目を挙げ、賞金ランク首位に立った。東京五輪銀メダルを含め圧倒的な強さを見せる稲見の強さの秘密を、国内ツアー7勝の佐伯三貴氏(36)が解説した。

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稲見さんの今回の優勝は「挫折」「ルーティーン」「流されない強さ」の3ポイントがあると思います。

「挫折」と先月のCATレディースの優勝争いで、自分から崩れて負けたことです。そんなときに、ズルズル引きずってしまうか、そこから反省してあとに生かせるかで大きく変わります。負けたことが彼女をさらに強くしたのは、負けをしっかり分析して次に生かせたからだと思います。

彼女のゴルフには「ルーティーン」があります。ショットの前に必ずバックスイングの始動と切り返しのチェックを入念にやっています。スイングの軌道を確認して、ゆったりと運んでいくからピンからブレようがない。あのルーティーンは群を抜いていると思います。何を打つにも全部一緒。無理せず、難しく考えていないところが、安定したショットにつながっていると思います。

「流されない強さ」というのは、彼女のメンタル面の強さです。プレー中は、周りを見ず、自分は自分、人は人という態度でゴルフに集中しています。そこには「こうしていれば、正しい方向にいく」という強い信念があり、周りに左右されることがないのです。

今回の優勝で賞金ランクで小祝さんを抜きましたが、稲見さんはさらに2勝、3勝する気持ちで臨んでいくと思います。ぶっちぎって賞金女王になる姿も見てみたいと思います。稲見さんを始め、新しいタイプのゴルファーがどんどん出てきて、ベテランも負けじと頑張っています。女子ゴルフ界もどんどん世界クラスになってきていると感じます。銀メダリストのゴルフとかメジャーで勝った選手のゴルフとかを間近で見られる若い選手がどんどん進化していく環境ができてきています。新しいスター選手の誕生も期待できるいい循環に入ってきていると思います。