ゴルフ協会井上副会長妻の会社に発注1300万円未回収 会長ら一部補てん

PGA(日本プロゴルフ協会)倉本昌弘会長(2020年7月15日撮影)

日本プロゴルフ協会(PGA)の倉本昌弘会長は27日、同日の定例理事会後にオンライン会見を行い、井上建夫副会長の妻が社長を務めるIT企業に事業を発注し、支払った約1300万円が未回収となっていた件について述べた。

同社が破産したため、支払った全額が回収不可能となり、事業損失となることが確定したことを明かした。損失については倉本会長と井上元副会長の2人で一部を補てんするという。

倉本会長は5月の臨時理事会時に約1300万円の回収について「今、これから訴訟を起こすところです」と法的手段をとる意向を明かしていた。しかし、同IT企業は破産しており、この日の会見で「管財人からとれるものもありませんという連絡がきた。よって事業損失が決定した」と説明した。

5月の同臨時理事会では井上副会長の損失補てんについては承認された一方、倉本会長の補てんについては否決されていた。同会長はこの日、「1度否決されていますが、私は自分でやると言っているだけです」とあくまで自主的な行動であることを強調。その背景として「事業損失を出した時に補てんすることが前例になると、誰も(事業を)やらなくなるので。あとあとの人たちが大変だと思います」と思いを明かし「形としては補てんではないということでやらせていただく」と話した。

同会長は今春に問題が明らかになった際も「監督責任、任命責任等がある」として会長報酬の半額を返上するとしていた。今回の補てん金額については未定とし「これから私がどういう形で(お金を)出していくのかを経理等々と話をしていくので。どれくらいになるのかは非常に不透明なところです」と話すにとどめた。

今回の件は4月の週刊文春による報道で明らかとなっていた。PGAは井上建夫副会長の妻が社長を務めるIT会社に、システム開発と公式サイト構築を依頼。その際に支払った約1300万円が未回収のまま会社が破綻したほか、利益相反の可能性があると報じられていた。PGAは5月の臨時理事会で利益相反については第三者による調査の結果「該当しない」と説明していた。

井上副会長は特任理事も兼務しており、今回の件などを受けて、理事からは特任理事の選考方法を見直す意見も出たという。これまでは選挙などを行わずに選定される特任理事決定後に、全国各地区から選ばれる代表理事の選挙を行っていた。しかし「『特任理事ありき(の選挙)じゃない方がいい』、『選挙にも通っていない人間が理事になるのはおかしい』という意見が出てきた」(倉本会長)ことから、今後はこの順序を入れ替えて実施することが承認されたという。