古江彩佳「100点に近い」逆転女王へ大会最少タイ64発進、稲見に10差

稲見萌寧と古江彩佳の賞金推移

<国内女子ゴルフツアー:JLPGAツアー選手権リコー杯>◇第1日◇25日◇宮崎CC(6543ヤード、パー72)◇賞金総額1億2000万円(優勝3000万円)◇曇り時々晴れ、17・9度、西南西の風4・7メートル◇観衆1186人

逆転賞金女王へ、賞金ランキング2位の古江彩佳(21=富士通)が記録的なスコアでロケット発進した。7バーディーを奪った前半29は大会新、後半も1つ伸ばして大会最少に並ぶ64とした。今季最終戦の国内メジャーで、2位に3打差をつけて首位に立った。最終組で一緒に回った賞金ランク1位の稲見萌寧は、古江と10打差の25位発進。9月時点の7248万4074円差から、史上最大の逆転戴冠が現実味を帯びてきた。

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震えるような寒さと程遠い温暖な宮崎で、古江が止まらなかった。1番パー4から、幸先よく伸ばした。左ラフからの第2打を30センチに寄せて“お先”のバーディー。3、4番で連続バーディーを奪うと、6番からは5連続バーディーを奪った。4番と9番は5メートル、7番は6メートルと、長いパットも面白いように決まった。これには古江も「よく入るなと思っていました」と、まるで人ごとのように笑って振り返った。「100点に近い」と納得の内容だった。

2人1組の最終組で一緒に回った稲見に10打差をつけ、第2ラウンド以降へ重圧をかけた。18ホール回る間、1度も会話を交わさなかったのは「2サム(2人1組)で忙しくて打ったら次のことを考えていただけ。その辺は意識していない」という。18番で2メートルの際どいパーパットを決めた笑顔のまま、1歳上の稲見に「ありがとうございました」とあいさつしたが、接近したのはこの時だけ。緊張を途切れさせなかった。

気持ちは高ぶっている。前日24日には「同じことは繰り返したくない」と、東京五輪代表争いで敗れた稲見への対抗心を隠さなかった。この日は「気持ちが出過ぎているかも」と笑ったが、前夜には験担ぎでとんかつを食べるなど、女王への思いは強い。チキン(臆病)にならないようにと、大会期間中は鶏肉を食べない。ただ「1年間やっていると鶏も食べたくなる(笑い)」と、開幕2日前には宮崎名物の地鶏に舌鼓を打った。今は緊張と緩和のバランスも分かっている。

9月に稲見と約7248万円あった賞金差は約1697万円。単独2位の1800万円以上を獲得すれば、史上最大の逆転女王の可能性がある。さらに21歳185日(最終日)の賞金女王となれば、07年上田桃子の21歳156日に次ぐ、史上2番目の年少戴冠。「最後に良い締めくくりができれば」と、偉業を狙っている。【高田文太】

◆古江の逆転賞金女王への条件 争いは稲見と古江の2人に絞られ、差は1696万8474円。古江の逆転には「単独2位(賞金1800万円)以上」が絶対条件で、後は稲見の結果次第。条件は「古江が優勝し、稲見が単独3位(1200万円)以下」か「古江が単独2位で、稲見が単独14位(同96万円)以下」となる。