日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)は、今季からレギュラー、下部、シニア各ツアーなどで「距離測定器」の使用を認めた。
ゼネラルルール(世界共通のルール)を定めるゴルフの総本山R&A、全米ゴルフ協会(USGA)の方針に沿う判断だが、実際のプレーにどう影響するのか-。日本プロキャディー協会代表理事で、男女両ツアー通算35勝をサポートした森本真祐氏(48)に話を聞いた。【構成・加藤裕一】
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距離測定器とはレーザーやGPS機能を使い、ターゲットまでの距離を計るもの。ハンディーサイズのタイプが普及している。
ゴルフ規則4・3「用具の使用」ではプレーヤーが技術、判断の必要性を人工的になくす、軽減する用具の使用を禁じているが、距離測定器については19年のルール改定で、高低差の情報収集を除いて認められるようになった。男子では昨年5月のジャパンプレーヤーズ選手権や、メジャーの全米プロ選手権などでいち早く解禁されている。
-使用するメリットは?
森本氏 林の中からの脱出時や(コース内にある目印から)ピンまで距離が測りにくい斜めのアングルが残る際には有効でしょうね。
-プレーファーストを促進するという声もあるが?
森本氏 個人的には“ほんまかな?”と思ったりします。測定器だけを使うならそうでしょうが、キャディーの立場で言えば、不安です。だから僕は歩測もする。絶対、他のキャディーもするでしょう。歩測+測定器の二重チェックになるので安心感は増しますが、進行は速まりますかね…。
肌感覚、歩測は大事?
森本氏 測定器を使った人は経験あるでしょうが、ピッてやった時に(レーザーが)ピンに当たらず、奥の林に当たったりして、距離を間違うことがある。それ、めっちゃ怖いですから。
-高低差の情報をつかむ行為は禁止だが。
森本氏 何ででしょうね? そこに不公平感はないと思うんですけどね。
-高低差はどう計算する?
森本氏 例えば、無風で距離150ヤード、打ち下ろし10ヤードの場合、まず単純に引き算して140ヤード。ただしクラブの番手で違ってきます。ショートアイアンは弾道が途中から自然落下するので、打ち下ろし分を見過ぎるとショートする。なので、マイナス5とか7ヤードで見る。6番アイアンなら数字通りですかね。そのあたりを練習ラウンドでチェックするわけです。
-ところで、帯同キャディーのいる女子プロは、自分でも歩測するのか?
森本氏 僕の肌感覚ですけど、歩測するプロは7、8割…いや半分よりちょっと多いかなって感じです。そういうプロは自分も測定器を持ってくるでしょうね。
-「プロが測定器、キャディーが歩測」で協力すれば、プレーファーストが期待できる?
森本氏 そうですね。その2つをすり合わせたら、時短になるかもしれません。
-結論を言えば、当然メリットが大きい
森本氏 はい。ただ、グレーゾーンが気になります。GPSのナビゲーションを作っている方と話をする機会があって、いろんな測定器があることを知りました。レーザーの反射だけのタイプもあれば、GPSだけのものもある。R&AはどっちもOKらしいです。GPSタイプには「グリーンエッジまで」「ピンまで」「バックエッジまで」とさまざまな距離がわかる機器もあるそうです。Aは良くてBはダメとか、全部OKとか。混乱を避けるためにも、ツアーから事前にアナウンスしてもらった方がいいのでは、と思います。
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○…JLPGAによると、距離測定器を使って高低差の情報を入手した場合、1度目は「2罰打」2度目は「失格」となる。ただ実際に高低差を測ったかどうかの確認は困難で、ルールの正常運用は「プレーヤーの良心任せ」になりそうだ。また“高低差測定NG”は「ゼネラルルールに従った判断」とし、ルール化の背景を「プレーヤーの技量、感性による判断を優先させるためではないか」と推測している。