【とっておきメモ】松山英樹30代初優勝…首など相次ぐ故障も“練習の虫”が自信得た「62」

<とっておきメモ> <米男子ゴルフツアー:ジェネシス招待>◇最終日◇18日(日本時間19日)◇カリフォルニア州パシフィックパリセーズ・リビエラCC(パー71)

松山英樹(31=LEXUS)にとって、30代として最初の優勝は格別だった。22年のソニー・オープン以来、2年ぶりという、優勝のなかった期間の長さだけではない。この間に、首や背中など相次ぐ故障を経験し、棄権する回数が増えていた。加えて「やっぱり体も変化している」と、疲労の回復などの面で、20代の時との違いも感じていた。肉体の衰えを自らも否定しきれない中で勝てず、自信を失いかねない状況が続いていた。その中で「62」のビッグスコアをたたき出しての逆転優勝は“まだ戦える”という、何よりの自信になったに違いない。

昨年12月のインタビューで、松山は「勝ちたい」という言葉を、何度も語っていた。“練習の虫”と言われるほど、大会期間中でもラウンド後に、全選手で最も遅くまで残り、日が暮れても練習していることが多いのは有名な話。ただこの2年間は、けがで満足に練習できなかった。そんな中、昨年10月、日本で行われる米男子ツアー唯一の試合、ZOZOチャンピオンシップの大会期間中に、再び猛練習を再開した。打撃練習場で“マン振り”を繰り返す松山の姿があった。

松山 「試したかったんですよね。次の週から休みだったので、どこまで練習したら痛みが出るのか。逆に出ないのかというのを。ZOZOは2日目にたたいてしまって、上位争いは厳しかったので、次の日に結果を出すことも考えていたけど、それ以上に来年以降のきっかけを探していました。どこまで打てるのかなと。試合をやりながらじゃないと分からない部分がある。ZOZOの3日目以降は切り替えていました」。

試合中に目いっぱい練習したことで、分かったことがあった。

松山 「試合が終わった後は(痛みが)出ました。でもすぐに取れた。痛みが出ても、治療すればすぐに戻せる。そうなってきたことと、それが分かったことはプラスだと思います」。

松山の持論は「練習しないと勝てない」だ。この2年間はけがで満足に練習できていなかったため、思い返せば仕方のない結果が続いていたのかもしれない。ただ、30代となり、この結果が練習できていないことだけが理由なのか、という焦りもあったはず。それを払拭(ふっしょく)し、21年マスターズに続く、メジャー2勝目への期待感を周囲にも、松山自身の中でも高める結果を出した。

けがに苦しむ以前、かつて松山はこうも話していた。「30代は、いろんな経験をして、選手として1番強くなる時期」。回り道をした分、心身ともに一回り成長した。昨年末のインタビューでは「やっぱりメジャーで勝ちたいです。もう1回、勝ちたいです」や「2桁(優勝)というのは、早く達成したいです」とも話していた。貪欲に勝利を目指し続ける松山の完全復活は、もう間近だ。【高田文太】