桜井心那が涙の復活V ツアー7勝の吉田弓美子がキャディー「背中を押してもらった」

試合後、優勝の桜井(左)はキャディーを務めた吉田と記念撮影する(撮影・滝沢徹郎)

<国内女子ゴルフツアー:CATレディース>◇最終日◇24日◇神奈川・大箱根CC(6652ヤード、パー72)◇賞金総額8000万円(優勝1440万円)

涙の復活優勝だった。かつて03年度生まれ「ダイヤモンド世代」の先頭を走っていた桜井心那(21=ニトリ)が、第1ラウンドから首位を守り、2年ぶり通算5勝目を自身初の完全優勝で決めた。3バーディー、3ボギーの72で回り、通算9アンダー、207。伸ばせなかったが、6人によるプレーオフ突入目前で混戦を抜け出し、勝負強さも取り戻した。宮里藍、畑岡奈紗に次ぐ3人目の「10代4勝」の逸材が、キャディーを務めたツアー7勝のベテラン、吉田弓美子(38)に背中を押され、復活した。

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両手を高々と突き上げると、直後から涙が止まらなくなった。50センチのウイニングパットを決めた桜井が振り返ると、キャディーを務めた吉田が、満面の笑みで拍手していた。抱き合い、吉田の肩に顔をうずめて泣きじゃくった。「優勝して泣いたのは初めて。泣くつもりじゃなかったのに」。20代初優勝は格別だった。

最終日に伸ばせなかったが、初めて完全優勝した。ボギー先行も、4番で15メートル近く、5番で6メートルと、長いパットを決めて連続バーディー。昨秋から師事する目沢秀憲コーチが高校から使っていた、旧タイプのパターを借りると相性が不思議と抜群だった。さらに一時は入谷に3打差をつけられたが、リーダーボードを見ても「間違いかな」と、5連続バーディーで、急激に伸ばした入谷のスコアを信じなかった。おおらかな性格が奏功。焦らなかった。

さらに学年は16個上ながら仲が良い吉田に「背中を押してもらった」という。最終18番を6人が並んで迎える、緊張感が高まる場面も「早く帰りたいんだから分かってるよね」と、冗談交じりに声をかけられた。プレーオフに突入すれば、弱気の虫が出てきかねない桜井の性格を吉田は熟知。正規の18ホールで決着をつけるよう、ハッパをかけられた。それが第3打をバンカーからピタリと寄せるバーディーへとつながった。

23年を「勢いがあって、失敗するイメージも湧いてこなかった。何も考えなくてもスコアが出た。『イケイケ』みたいな感じ」と振り返った。だが23年は5戦だった予選落ちが24年は12戦と増えた。そこで昨秋から本格的にトレーニングを始めたことに加えて「アプローチが良くなった」と、グリーンを外しても軌道修正できる体と技術を身に付けた。国内ツアーで年間女王、米ツアーで活躍という理想は、同世代の竹田麗央が果たした。だが「いっぱい悩んで考えた。それが成長させてくれた。この優勝の価値は大きい」と力説。回り道とは思わない。再び世代の先頭へ。桜井の第2章が始まる。【高田文太】