国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長は4日、韓国の平昌(ピョンチャン)で開かれた2日間の理事会終了後に記者会見し、統括団体のガバナンス(組織統治)や審判の判定で問題が指摘されているボクシングを2020年東京五輪(オリンピック)の実施競技から除外する可能性を明らかにした。

 国際ボクシング協会(AIBA)は1月下旬にラヒモフ副会長(ウズベキスタン)を新会長代行に選出したが、同氏は米財務省から「ウズベキスタンの代表的な犯罪者の一人で、ヘロイン売買に関わる重要人物」と指摘されている。AIBAでは、規約違反を指摘された呉経国会長(台湾)が昨年11月に辞任したほか、リオデジャネイロ五輪では相次ぐ不可解な判定で八百長や買収の疑惑が出るなど混乱が続く。

 IOCは独自調査の着手や、昨年12月に凍結した分配金を含む全ての支払い停止を決め、AIBAに報告書を求めた。

 バッハ会長は14年ソチ五輪のドーピング違反でロシア選手に科した五輪永久追放処分をスポーツ仲裁裁判所(CAS)が取り消した問題で、裁定の理由など説明をCASに求めたが、回答は今月末になると応じられたことも明らかにした。「CASはこの問題の重大性を認識していない。内部構造の改革が喫緊の課題ということが表面化した」と非難。問題の長期化を見込み、成績の修正を反映したメダルの再配分は平昌五輪閉幕後になるとの見方も示した。