日本ボクシング連盟の山根明会長(78)に関する告発状を提出した、都道府県連盟の幹部や歴代オリンピック(五輪)選手ら333人からなる「日本ボクシングを再興する会」が8日、都内の弁護士会館で会見を開いた。

 会見ではこの日、辞任を表明した山根明会長(78)をはじめ日本ボクシング連盟の幹部が、同会長の出身の奈良県の選手に有利な判定を下すよう語っている、審判不正の問題、いわゆる“山根判定”の存在を示す音声データを公表した。

 1つ目の音声データは、日連の中で総務全般を担当し、金庫番的な役割を果たしていたとも言われる、内海祥子常務理事が日連の事務員と話したという16年4月30日のもので、内海常務理事が事務員に対し

 「A級の審判をやらせようと思って。それは近大に勝たせたくないわけさ」

 「芦屋じゃないの。そのために会長が審判を集めてんだから。お前たち何で集められたか知ってるんか。言っとかないとダメだよ。そうじゃないと正しくやっちゃうといけない」

などと語っている。会話は、近大ボクシング部と芦屋大ボクシング部との対戦について語ったものとみられる。

 2つ目の音声データは、山根会長自身が16年2月5日に語った音声で「接戦した場合、やっぱり奈良やな。それ反対につけた場合は、『お前なめてるんか?』てなってくるわけ」と、はっきり語っている。

 この日、会見に出席した、アトランタ五輪ライトウエルター級日本代表で新潟県ボクシング連盟副理事長の仁多見史隆氏は「テレビでは“奈良判定”という言葉が独り歩きした。不正に関係のない奈良県の選手、ご父兄には大変ご迷惑をおかけし、遺憾に思います」と奈良県の選手、関係者に謝罪した。その上で「日本連盟は明確に否定しましたが、組織的に審判不正を行っていた、もしくは承知していた資料を入手しました」と説明した。

 また告発代理人の戸田裕典弁護士は、音声データの信ぴょう性について聞かれると「事務員と役員の電話での録音で自然の会話の中の発言。また山根会長自身の発言で詳細な審判のことを語っている。信ぴょう性は高いと判断している」と強調した。【村上幸将】