卓球の有望株が集う“虎の穴”が仙台にある。男子世界ランク6位の張本智和(15=エリートアカデミー)や、五輪女子団体で12年ロンドン大会銀、16年リオデジャネイロ大会銅メダル獲得の福原愛(29)らを輩出した仙台ジュニアクラブの選手たちが通うのが、仙台市内にある「張本卓球場」だ。張本兄妹の両親でコーチの宇(ゆ)さん、凌(りん)さん夫妻が16年8月に開設。幼稚園年長児から中学3年生までの30人が日々、練習に打ち込む。凌さんが「いつかここからオリンピック選手が出てくれれば」というエリート養成場に、潜入した。

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 仙台に“愛ちゃん2世”がいた! 仙台ジュニアクラブ所属の福原あい(10)が14~16日に東京で開かれる全国ホープス大会(小学6年生以下)の優勝に挑む。名前の読み方が同じで、12年ロンドン、16年リオ五輪メダリストの福原愛(29)に憧れて卓球を始めた。現在は同学年の張本智和の妹美和に刺激を受けながら、「全国大会で優勝したい」と練習に励んでいる。

 「あい」という名には、母朋子さん(45)の「愛ちゃんのようにかわいくて、強い子に育ってほしい」という思いが込められている。15年にゼビオアリーナ仙台で女子ワールドカップが開かれた時は、憧れの福原愛のエスコートキッズとして手をつないで歩いた。「緊張しすぎていてあまり覚えていないけど、優しいお姉さんだった。『ありがとう』という言葉をもらって、とてもうれしかった」と振り返る。

 張本とは、同じ仙台市の病院で生まれた縁がある。「美和ちゃんとは運命を感じる。初めて会った時、明るい子で、すぐに仲良くなれたことを覚えている。今では親友であり、尊敬している存在」と言う。そして、将来の夢は張本と一緒に五輪に出場すること。張本卓球場で指導に当たる孫雪さんの厳しい練習も2人で励まし合いながら乗り越えてきた。「美和ちゃんとダブルスを組めば、オリンピックで金メダルも取れるはず。その前に全国ホープス大会で優勝し、実力を示したい」と丸くて大きな瞳を輝かせた。

 ◆福原(ふくはら)あい 2008年(平20)6月12日、仙台市生まれ。5歳から仙台ジュニアクラブで競技を始め、新田小1年時に宮城県小学生卓球選手権大会バンビの部(小学2年生以下)で優勝し、全国大会初出場。137センチ、34キロ。家族は両親と姉。