ノジマ相模原が逆転サヨナラFGで2連勝した。過去1勝7敗で、春の東日本王者オービックとの対戦。第1Qで0-17とされたが、その後は守備が抑えて反撃。パスとランでTDを挙げ、第4QにFGで2点差に迫った。残り2分余りからパスで攻め込み、残り2秒から最後のプレーでK鈴木健太(23)が2本目の42ヤードFGに成功。慶大薬学部大学院2年と異色Kの活躍で、オービックに18-17で黒星をつけた。

ノジマは最初の攻撃でパントに追い込まれた。走りながら蹴るパントだったが、鈴木は普通に前に蹴ってブロックされた。こぼれ球を拾われ、あっという間に先制TDを奪われた。

さらに鈴木はこのプレーで軸足の左ひざも痛めた。その影響か、続くパントは16ヤードしか飛ばず。返しの守備であっけなく3プレーで2本目のTDを許した。さらにインターセプトからFGを追加され、開始8分足らずで0-17とされてしまった。

ノジマはオービックに過去唯一勝利したスタジアムのホームにあきらめなかった。返しの攻撃でTDパスを挙げて反撃の口火を切る。第3QにはランTDをマークしたが、TFPはいずれも失敗で12-17の5点差となった。

キッキングのミスでリードを許したが、勝利を呼び込んだのもキッキングだった。第4Qに入り、鈴木が54ヤードのFGを決めて2点差に迫った。続く攻撃はパントになるが、鈴木が63ヤード蹴り込んでオービックをゴール前に追い込んだ。

守備はFGを許した後は失点を許さず。ここも6連続となるパントに抑え込た。残り2分13秒から最後の攻撃でQBロックレイが執念でパスを決めていく。20ヤードまで攻め込んで、残り2秒で37ヤードFGを狙う。

相手が3度のタイムアウトをとり、この間に味方も反則で5ヤード下げられた。42ヤードとなったFGに、鈴木は「反則は嫌だったが、タイムアウトで逆に落ち着き、自然体で蹴られた」と振り返った。見事に成功させると、グラウンドに歓喜のノジマの選手がなだれ込み、鈴木をもみくちゃにした。

鈴木はずっとサッカーのCBで、慶大薬学部に進学後も同好会に入部した。2年の秋に誘われてフットボールに転向。医科歯科リーグでDBと兼任でプレーすると面白くなり、3年時には「上のレベル。Xリーグでやりたい」と、自宅近かったノジマに連絡。医科歯科リーグは6年間登録できるが「いいチームだったので」と、大学院に進んだ昨年入団した。

今季は昨季先発だったKが退団し、控えから先発に昇格で責任の重さは増した。春のパールボウル準決勝では残り3秒での決勝FGをブロックされて外し、延長タイブレークの末に敗退した。「あの悔しさがあったので、秋には返したいと思ってやってきた。みんなの信頼に応えたかった」と話した。

須永ヘッドは「みんなの一体感が増して、力をつけてきている。ホームはいい試合ができる」と笑み。解散したオンワードを主体に発足から10年目。悲願へ価値ある勝利だ。鈴木も「まだまだ。目標は日本一」とKらしく、あくまで冷静に話した。