体操の16年リオデジャネイロ・オリンピック(五輪)女子代表の宮川紗江選手(18)への暴力行為で、日本体操協会から無期限の登録抹消などの処分を受けた速見佑斗コーチ(34)が5日、都内で会見を開いた。速見コーチはこれまでの暴力行為を謝罪し、改心した上で宮川選手の指導を続けていきたい考えを示した。また、宮川選手が告発している協会の塚原千恵子女子強化本部長(71)からのパワーハラスメントについても言及した。

謝罪会見が一転、速見コーチは塚原強化本部長の言い分に対し反論もした。

「引き抜きの話があったか?」と問われると、「宮川が中学3年の秋か冬に私が朝日生命のコーチから食事に誘われ『塚原光男さんから宮川選手と一緒に入ってほしいと頼まれた』と言われた」「昨年の世界選手権の時も塚原千恵子強化本部長の付き人から、朝日生命に入ってやればすごくよくしてくれるという感じのことを言われた」などと過去3度あった事実を挙げた。「引き抜きはしていない」と言う主張を真っ向から否定するものだった。

そしてパワハラの事実にも触れ、味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)への出入りや、ここ2年は宮川選手の国際大会への派遣も「制限されていた」。また、任意と伝えられていた2020東京オリンピック(五輪)特別強化メンバーに入らなかったことで「入らないから派遣されなかったでしょ、と言われた」と圧力があったと告白した。

「素晴らしい実績のある方」と前置きしながらも、現場の指導者の多くが物言えない現実があるとも明かした。「言ったら何かされるんじゃないか、意地悪されるんじゃないかというところで、怖くて言えない部分があった。多くの指導者が感覚として持っている」。現場刷新を望んでいるかと聞かれると「1人1人を尊重しつつ、話し合えるような環境にはなって欲しいという思いが現場にはある」と訴えた。【松末守司】