スポーツ庁は12日、スポーツ団体の不祥事が相次ぐ中、今後の対応策を検討する「スポーツ・インテグリティ(高潔性)の確保に関するプロジェクトチーム(PT)」の第1回会合を開催した。鈴木大地長官は「おはようございます。さわやかにあいさつしたが、今日は重たい話です」と切り出した。

不祥事の連鎖について「このままでいくと、トップアスリートの強化に公金を使っているが、なかなか国民の理解を得るのが難しくなる」と危機感を示した。また、「スポーツ界の悪い伝統を断ち切るには良いチャンスだと前向きに捉えている」と改革に意欲を示した。

同庁はスポーツ団体への調査や指導権限はないが、国民の間ではその理解は広まっていない。同庁職員を中心に構成されたPTでは、現法制の範囲内でできる対応策を議論する。

一方で、超党派の国会議員からなるスポーツ議員連盟では来週にも有識者会議を立ち上げ、第1回会合を開く。こちらでは同庁に権限を持たせるため法改正も含めた検討がされる予定。

国が法的根拠を持ってスポーツ団体に関与することに否定的な見方もあるが、鈴木氏は「私ももともと競技団体の人間。競技団体の独立、自治は尊重すべきと思うが、競技団体自らが運営の透明性を確保していくこと、自主的に改めるところは改めることが必要だと思っている。不祥事事案が発生したときの再発防止策や、(同庁からスポーツ団体への)対処のあり方について総点検をし、今後の強化策を検討していく」と覚悟を示した。

同庁PTは年内を目途に対応策を取りまとめる。議連の有識者会議は11月末を目途に提言を取りまとめ、それを同庁に提出する予定。