全米オープンで日本人初の4大大会優勝を遂げた世界7位の大坂なおみ(20=日清食品)がベスト4に進出した。

第8シードで同25位のバルボラ・ストリコバ(チェコ)に6-3、6-4のストレート勝ち。今日22日午後1時以降に予定されている準決勝で同37位のジョルジ(イタリア)と対戦する。第1、2シードが敗退したため、第3シードの大坂が最上位となった。あと2勝に迫った日本女子史上最多の年間ツアー3勝目へ視界が開けた。

大坂は何度もしかめっ面をして、ラケットに不満をたたきつけた。「すべての試合を完璧にはできない」と言うが、そこは生粋の完璧主義者。決して好調とはいえない自分に腹が立った。それでも勝つ。そこが全米覇者の底力だった。

ストリコバは、ラリーにちょっとした嫌な間がある。一定の速度があるリズムなら、大坂は波に乗ってストロークができた。強打一辺倒の以前なら、悩む必要もない。しかし、今は緩急やコースを打ち分けられる分だけ、打つ前の迷いが増えた。2回戦は凡ミスが9本だったのが、この日は約3倍の26本。

初戦の2回戦で60%の確率で入った第1サーブも、途中まで確率50%を切っていた。しかし「最後までベストを尽くした。ちゃんと修正できた」と、過去1勝1敗のストリコバに、手を焼きながらもストレート勝ちする成長を見せた。

15年に東レ・パンパシフィックの本戦デビューを飾ったときに対戦したのが、ストリコバだった。その時はストレートで敗れた。この3年で「すべての面で成長したと思う」。17年ウィンブルドン2回戦で初めて勝ったとき、そのスピードから「新幹線」という愛称をもらった相手を再び倒した。

地元初Vに追い風も吹く。前日の20日に、第1シードのウォズニアッキ(デンマーク)、この日第2シードのガルシア(フランス)が敗退。準決勝に残る4人で最上位の選手となった。試合後の場内インタビューでは「(緊張?)ノー、全然。ドキドキ」。司会者に「楽しんでるドキドキか」と問われ「はい」と笑顔を見せ、会場から拍手を浴びた。全米後の凱旋(がいせん)試合にも重圧は感じていない。

優勝すれば、日本女子として最多の年間ツアー3勝目となる。過去、伊達公子、杉山愛が2度ずつ年間2勝を挙げており、大坂も今年、BNPパリバ・オープンと全米の2勝を挙げている。「優勝は重要な意味を持つわ」。なおみ新幹線は、まだ走り続ける。【吉松忠弘】