新潟BBラビッツは山形銀行戦でF井上愛(28)が復活をアピールした。22分31秒の出場時間で、12得点6リバウンドをマーク。5月に左膝半月板の手術をし、試合出場は昨季の最終・山梨戦(3月10日)以来。約6カ月ぶりの実戦ながらブランクを感じさせなかった。肩書は昨季の主将から副主将に変わったが、プレーでは今まで通りの存在感を示した。試合は70-75で敗れた。

大黒柱が仕事をした。49-50で迎えた第4クオーター(Q)だ。井上はスタートからコートに入ると、チームを活気づける。「ミスしても、気持ちを切り替えるように声を出した」。プレーでも引っぱる。山形銀行が連続9得点した序盤に、3点シュートを決めて54-61と流れを止める。残り2分を切ったところで再び3点シュートで65-65と同点にする。残り21秒ではインサイドから決めて、このQだけで10得点を挙げた。

試合には敗れたが、個人的にはチーム2番目の12得点。左膝半月板の手術後、リハビリが続き、全体練習に合流したのは10日ほど前から。実戦は練習試合を含めて昨季最終戦、3月10日の山梨戦以来だ。「スタミナがなくて、最後の方はゼーゼー、ハーハー」と苦笑い。それでも「久しぶりの割には、試合感覚はそれほど悪くなかった」と手応えがあった。

小川忠晴監督(48)も「井上が、ある程度できたのは収穫」と言う。3点シュートは3本放って2本成功。2点シュートも3本中2本、フリースローは2本すべて決めた。「20分ほどの出場で少ないシュートをきっちり決めてきた」。小川監督は要所を押さえるプレーを評価した。

昨季は主将だったが、今季は新主将のG山沢恵(22)を支える副主将。ただ、山沢が左膝の負傷で別メニュー調整の今、「練習から自分が厳しく言っていく」と宣言。10月20日の開幕・トヨタ自動車戦まで1カ月を切った。「中だるみがある。練習中から指摘しあう雰囲気にしないと」。今季最初で最後のプレシーズンゲームを終え、これからが仕上げの時期。井上が先頭に立つ決意を固めた。【斎藤慎一郎】

◆今季のWリーグは10月19日に開幕。新潟BBラビッツの初戦は20、21日、ホームの阿賀野市水原総合体育館でトヨタ自動車と対戦する。レギュラーシーズンは総当たりで各チーム22試合を行い、上位8チームがプレーオフに進出する。

◆井上愛(いのうえ・めぐみ)1990年(平2)1月6日生まれ、香川県出身。香川・英明高では1年からレギュラー。3年間、全国高校総体と全国高校選抜大会に連続出場した。鹿屋体大に進学し、4年連続で全日本大学選手権に出場。12年に新潟に入団。16、17年とWリーグオールスター戦に出場。17-18年シーズンは主将を務めた。今年4月、アジア大会の日本代表候補合宿に初参加。ポジションはF。172センチ、63キロ。