2連覇を狙った前大会王者のウルフ・アロン(22=了徳寺学園職)が3位決定戦で敗れ、5位に終わった。

準々決勝で怪力のイリアソフ(ロシア)に小外掛けで一本負け。敗者復活戦を勝ち上がり、3位決定戦では世界ランク24位のモンゴル選手に隅落としで一本負けを喫した。背中が畳につくと思わず天を仰いだ。

「(今年は)自分の実力でつかんだ代表切符ではなく、なんとしてもと思ったけど…。本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです」

昨秋からけがが重なった。1月には左膝を手術し、選考大会に1つも出場せずに代表に選出された。「今年は実力で勝ち取った代表ではない。崖っぷち」と危機感を抱いて、今大会に向けて気持ちを高ぶらせていた。

6月に実戦復帰した。海外勢のパワー対策として、これまで組まなかった100キロ超級の選手との乱取りや筋力アップに励んだ。ベンチプレスの最大値は10キロ増の180キロまでになった。8月のグランプリ(GP)ブダペスト大会を制して「試合勘は戻った」と認識していたが「後半につれて粘り強さがなかった。スタミナがまだ昨年よりも戻っていなかった。研究もされて、練習量や質ともに足りなかったのかもしれない。自分に自信がありすぎた」と悔しそうに振り返った。

昨年は大会直前に自慢の胸毛を剃って初優勝した。験かつぎで今大会も剃って臨んだが、2連覇とはならなかった。東京・葛飾区生まれのウルフにとって、20年東京五輪は並々ならぬ強い思いがある。

「これからが本当の勝負。これで終わりでない。まだまだ柔道人生は始まったばかり。この負けを胸に刻んで次に進みたい」

22歳の前世界王者は落胆する中、必死に前を向いていた。