柔道の世界ランキング上位者で争われる「マスターズ大会」(15~16日、中国・広州)に出場する男女日本代表が12日、羽田空港を出発した。男子73キロ級で17年世界王者の橋本壮市(27=パーク24)は、9月の世界選手権で負傷した右目について「(1・5以上あった)視力は落ちたまま」とし、0・1以下であることを明らかにした。

約3カ月ぶりに報道陣の前に姿を見せた橋本は、負傷した右目の状態について「視力は落ちたままで、もう戻らない。右目だけ0・1以下になった」と、真っすぐ前を見て説明した。

世界選手権準決勝で頭を畳に強打。右目が見えない状態で決勝に臨み、2連覇を逃した。予定より早い便で帰国し、複数の医師の診察を受け「右外傷性視神経症」と診断された。1・5以上あった視力は現在も回復せず、神経性のためコンタクトなどでの矯正も難しいという。左目中心の生活に当初は「体がだるくて疲れが抜けなかった」としたが、「もう慣れた」と冷静に語った。

5月には右肩を脱臼して約2カ月間休養した。急ピッチで仕上げた世界選手権は本調子ではなかった。11月のグランドスラム(GS)大阪大会も欠場し、3連覇が懸かる今大会に向けて照準を合わせてきた。井上監督も「もう1度、世界のトップだということを証明して欲しい」と期待を寄せた。逆境に強い27歳は「いろいろ大変だったけど、しっかり準備できた。これまでと変わらない自分らしい柔道で優勝する。期待していてください」と、さらなる進化を誓った。【峯岸佑樹】