世界9位の錦織圭(29=日清食品)が、世界のエース王に、4大大会自身最多の59本のエースをたたき込まれながら、6-3、7-6、5-7、5-7、7-6で、同73位のイボ・カロビッチ(クロアチア)に勝ち、1回戦に続くフルセット、3時間48分の死闘を制した。また、今年から採用された最終セットの6オールゲームからの10点先取タイブレークも初体験だ。

勝利後のオンコート・インタビューでは「どっちが勝ってもおかしくなかった。残り1球で負けていたかも。勝てたのが不思議なぐらい。最後はリターンに集中した」。勝利の瞬間、思わずコートに座り込み、両手と両膝をついて、数秒、動けなかった。「今日は本当に勝ちきった。負けるタイミングが2~3回あって、それを防いで、挽回して、気持ちも切らさず、最後までプレーできた」。

最終セットの4オールからの第9ゲーム。自分のサービスゲームで0-40の大ピンチを迎えた。「いやー、もう負けたなと思った」。もしサービスゲームを落とし、次のゲームを相手にキープされたら敗退が決まっていた。「1本ずつ」と、気持ちを切らさずに5点連続で奪い崖っぷちからよみがえった。

しかし、10点先取のタイブレークも、6-7で、相手に2本のサーブという形まで追い込まれた。ただ、その時は、「まだチャンスはあると思っていた。(相手の)サーブの読みさえ当たれば、確実にチャンスは来ると思っていた」。続く時速213キロのサーブを、こん身のフォアのリターンで、相手のボレーミスを誘うと、6-7から4点連取で、ついに勝利に結びつけた。

4大大会で自身最多の59本のエースを食らった。「特に、セカンドが良かった。コースも良かったし、リスクをすごく負っているようなサーブが入ってきた」。それでも、最後は「コントロールをしっかりできていた」。最後は、「僕の年間のサービスエースの数と同じぐらいだ」と冗談で余裕を見せた。