<テニス:全豪オープン>◇17日◇メルボルン・メルボルンパーク◇男子シングルス2回戦

錦織はビッグサーバーと対戦する際の鉄則を最後まで貫き通した。それは相手のサーブを破るよりもまず、自分のサービスゲームを落とさないことだ。カロビッチに59本のエースをたたき込まれながら勝利を手にできたのは、第1サーブの確率をアップさせたことにある。

1回戦の67%から77%と、10%も精度を上げてきた。その分スピードは抑え気味にせざるを得なかったが、ワイド、センター、ボディーへと丁寧に、正確に打ち分けていた。カロビッチのストロングポイントはサーブとネットプレーだが、第1サーブを確実に入れることでリターンからのネットダッシュを最大限に防いでいた。第3、4セットにサーブを破られたゲームは、いずれも最初のポイントを第2サーブから失っている。この試合での第1サーブの重要性を象徴していた。

カロビッチの200キロを超えるサーブに対応するにはヤマを張るしかない。エースを奪われるのは覚悟の上で、サービスをキープしながらチャンスを待った。自ら積極的にネットに出て、相手のリターンに重圧をかけ続けたのも効果的だった。錦織はこのような展開を当然想定していたのだろう。奪ったゲーム数は30対29、サービスブレークは1対2。どちらに転んでもおかしくない試合だったが、ビッグサーバーを制したのは、錦織の第1サーブだった。(亜大教授、テニス部総監督)