世界9位の錦織圭(29=日清食品)が、今大会初のストレート勝ちで16強入りだ。同44位のジョアン・ソウザ(ポルトガル)に7-6、6-1、6-2の2時間6分で勝ち、21日に予定されている4回戦では、3年ぶり4度目のベスト8進出をかけ同23位のカレノブスタ(スペイン)と対戦する。

<亜大総監督・堀内昌一氏が分析>

第1セットはタイブレークで競り合ったが、第2セット以降はワンサイドの展開になった。それは、錦織のリターン能力の高さがもたらしたものだ。

錦織のサービスリターンのデータを集計してみた。第1セットはソウザに7本のエースを許しながら、29本の第1サーブ中16本をリターンしている。最速204キロの強力なサーブに対し55%の高確率だった。第2サーブに対しては86%。相手コートに深く、厳しいリターンが数多く返っていた。これがソウザにはボディーブローのように効いたのだろう。第1セットは67%だった第1サーブの確率が、第2セットには32%に落ち込んだ。錦織のリターンに重圧を感じ、より厳しい第1サーブを狙った末の急落だった。

ストローカー同士の対戦になったが、ソウザは錦織とまともに打ち合っては分が悪いと感じていたはずだ。立ち上がりから力強いサーブで速い展開を仕掛けてきた。しかし、錦織のリターンは崩れず、データの通り3セットを通じて終始安定していた。ストロークはもちろん、今季好調のサーブに加えてサービスリターンにも不安はない。セカンドウイークの戦いが楽しみになった。(亜大教授、テニス部総監督)