日本人最高位、そして男女を通じてアジア人初のシングルス世界1位に向け、世界4位の大坂なおみ(21=日清食品)が23日、準々決勝に臨む。

センターコートで同7位のエリナ・スビトリナ(ウクライナ)と対戦。勝てば28日発表の最新世界ランキングで日本人最高位の3位以上が確定する。また、決勝に進めばクビトバ、プリスコバ(ともにチェコ)の結果によっては、優勝しなくても世界1位が決まる。

また、大坂が日本テニス界の歴史を動かす。準々決勝に勝てば、伊達公子、錦織圭でさえ到達できなかった世界のトップ3が確定する。その大一番を翌日に控え、大坂は約30分、軽く練習。3、4回戦で3セットを連続で戦ったが、シラー・トレーナーは「全く疲れていない。十分に回復している」と体力には太鼓判を押した。この日の準々決勝でクビトバ(チェコ)が敗れた時点で日本最高位が確定したが持ち越しとなった。23日のスビトリナ戦で勝ち、自力で決めるつもりだ。

伊達公子が最初に4位になったのが95年11月。約20年後の15年2月に錦織圭が続いた。この2人がその後、何度挑戦しても破れなかったトップ3の壁を、大坂は軽々と越えようとしている。それどころか「最終的には世界1位になるのが目標」と話すように、男女を通じてアジア選手初の世界1位を完全に射程圏内にとらえた。

今大会で大きな成長の跡を示した。全米女王として迎えた初の4大大会。4大大会2大会連続優勝への重圧感は半端ではない。それをはねのけて、まず最初の目標だったベスト8にたどり着き、4大大会は11連勝とした。

第1セットを先取した勝率が9割を超えるのに対し、第1セットを落としたときは2割台と極端に落ちる。それでも3、4回戦は苦手なタイプに第1セットを落としながら逆転勝ちし「成長しているところを見せることができた」と8強を決めた瞬間、珍しく感情を見せ、両手を突き上げた。

準々決勝も過去2勝3敗と苦手なスビトリナだ。大坂を担当する女子代表の吉川真司コーチは「ミスが少ないタイプ。大坂がどれだけ凡ミスを減らし、相手に攻撃させないかがカギ」と話す。11年全仏、14年全豪を制した女子の李梛(中国)が、14年2月にマークした2位がアジア選手の最高位だ。伊達、錦織、李梛を超え、世界をも超える日が迫ってきた。【吉松忠弘】

◆大坂の日本最高位と世界1位の可能性 21日でベスト8が出そろった。大坂は準々決勝を勝ってベスト4に進出すれば、28日発表の最新世界ランクで最低でも5810点となる。その大坂を上回れる選手は、決勝に進んだ時のクビトバが最低でも6290点、優勝したときのプリスコバが6320点で、その2人だけになり、大坂の最新世界ランキングでの3位以内が決まる。また、その2人が大坂の成績を上回らない限り、大坂の世界1位が確定する。