フィギュアスケート女子でシニア1年目を駆け抜けた紀平梨花(16=関大KFSC)が「令和」の新時代に、22年北京五輪金メダルへの山を登る。14日はマリンメッセ福岡で世界国別対抗戦のエキシビションに出演。5月から始まる令和に「新しい時代にしっくりくるいい名前」と思いをはせた。来季に向けて休む間もなく4回転ジャンプの習得と、振り付けに着手する。

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スケート界に新風を送り込んだ紀平が、今季最終戦を終えて1つの「山」を思い浮かべた。頂上は22年北京五輪金メダル。シニア1年目からグランプリ(GP)ファイナル優勝など快進撃を続けたが、16歳は冷静に「五輪はまだ雲にちょっと隠れているような感じ。五輪まで長いし、明日ケガをしたら終わりだし…。何歩もまだ進めていないと思う」と立ち位置を示した。

新元号の「令和」には、新鮮な思いを抱く。「新しい時代にしっくりくる、すごくいい名前だなと思います」。そんな意識を持ちつつも「『新しい時代が来たんだな』って思うけれど、まだまだ自分の中ではスケート人生の中の1年」と、やるべきことを自覚する。

5月からは本格的に新プログラムの振り付けや、4回転ジャンプの習得に着手。来季のショートプログラム(SP)はカナダの女性振付師シェイリーン・ボーン氏に初めて依頼する。ボーン氏は男子の羽生結弦(ANA)が金メダルを獲得した、平昌五輪フリーの「SEIMEI」など数多くのプログラムを担当。フリーは今季に続いて米国のトム・ディクソン氏が手がけ、紀平は「初めは難しいような曲とか、自分が苦手と思うような曲をわざと選んでいきたい」と意気込む。

頂上の雲は確実に1年前より薄くなった。さらに視界を良くするために、オフの過ごし方が重要だと自分で理解する。「令和は来ると思うんですけれど、自分のスケートは変わらず同じことをしていくだけです。ケガせず。ギリギリでケガをしないところで努力していきたい」。新時代の象徴となるべく、紀平は1歩ずつ進んでいく。【松本航】