柔道の19年世界選手権東京大会(8月25日開幕、日本武道館)男子90キロ級代表の向翔一郎(23=ALSOK)が18日、世界王者が背負う「赤ゼッケン」を切望した。

横浜市の桐蔭横浜大での強化合宿に参加し、4カ月後の大舞台に向けて「ここで勝ちきらないといけない。赤ゼッケンを取りにいくための練習を積む」と静かに闘志を燃やした。17日には同合宿で書道に挑戦し、好きな言葉として自身の名前の「翔」を繰り返し練習していたが、本番のうちわには世界王者への強い思いを込めて「赤ゼッケン」と書いていた。

枠にはまらないスタイルを貫く「柔道界の異端児」だ。キックボクシング仕込みの頭を左右に振る独特の間合いで相手を揺さぶる。6日の全日本選抜体重別選手権決勝では、18年世界選手権銅メダルの長沢憲大(25=パーク24)から指導3を引き出し、世界選手権個人代表の切符を初めて手にした。18年世界選手権は男女混合団体代表として2連覇に貢献したが、「団体より個人」と何度も口にしていた。

男子代表の井上康生監督(40)は向について「良い意味で勝負師。勝負するものは異常な部分を持つことが大事」と評したが、一方で「日本代表としての責任もある。それを背負って、選手として人間として成長させるようにアプローチをかけていきたい」と話した。この日の稽古では、井上監督が向に熱血指導し、直々に組み合って釣り手の使い方を教えていた。