4月25日、ホンダは今週末に行われるF1第4戦アゼルバイジャンGPに新仕様のパワーユニットを投入することを明らかにした。

平成最後のグランプリとなるが、ホンダはここに信頼性と性能の両方を向上させた“スペック2”パワーユニットを持ち込んできた。信頼性向上を主目的としてICE(内燃機関エンジン)に手を入れたもので、それに伴って現状で投入可能なアイテムを投入したことで「若干のパフォーマンス向上もある」と田辺豊治テクニカルディレクターは説明する。一部では20馬力向上との報道もあったが、これは否定した。

「ICEの全体的な信頼性向上を狙って変更を施しています。性能面に関しては目に見えて良くなるようなものだったら私も“それなりに上げました”と言いますけど、実際には“多少”です」

開幕魔テストからノートラブルで走り続けてきた今季のホンダ製パワーユニットだが、前戦中国GPで今季初のトラブルが発生。これにより想定外の懸念が見つかったが、今回の信頼性対策自体はそれ以前から準備していたものだという。

「今回入れた信頼性対策(の中味)はずっと準備してきていたもので、それ自体は直接は中国GPのトラブルとは無関係です。ただし、その原因を探る中で懸念があることも見えてきた。今回のスペック2ではその懸念箇所も変更されているので再発の心配はありません」

現在のF1ではパワーユニットは年間3基しか使用できず、それ以上の使用の際には最後尾スタートのペナルティーが科される。4戦目での2基目投入は早くもシーズン後半でのペナルティーが不可避と言えるものだが、これにはチーム側も同意している。

スペック1に残る懸念が払拭(ふっしょく)されるという点と、若干でも性能向上が果たせるという点で勘案して、レッドブルおよびトロロッソ側も今回からスペック2を投入することで合意したという。

「我々としては品質上の不明瞭なところがあるし、それをクリアにしたものでレースをしたい。チームとしては少しでもパフォーマンスが上がるなら使いたいし、レッドブルもトロロッソも完走すれば良いポジションにいられるだけのパフォーマンスがありますから(トラブルで)レースを失うようなことはしたくないしきちんとレースを完走するということが大きな目標ですから、そういう意味でもそこを取りに行くということで今回の決定に至りました」

アゼルバイジャンGPの舞台バクー・シティサーキットは市街地サーキットながら2010m、時間にして24秒連続のスロットル全開区間があり、パワーが問われる。懸念を払拭した新スペックでレッドブル・ホンダとトロロッソ・ホンダはこのサーキットに挑むことになる。(米家峰起通信員)