初優勝を狙う日本代表チーム「バード・ジャパン」がマレーシアに3-0で勝利し、準決勝に進出した。

第1試合では男子ダブルス世界ランキング2位の園田啓悟(29)、嘉村健士(29=トナミ運輸)が2-1で激戦を制し、勢いをつけた。第2試合は女子シングルス同2位の奥原希望(24=太陽ホールディングス)が2-0で、第3試合は男子シングルス同1位の桃田賢斗(24=NTT東日本)も2-0で勝利し相手を圧倒した。

第1試合に登場したソノカムペアは、世界ランキング21位ながら過去1度も勝ったことのない相手の攻撃に苦しんだ。第2、第3ゲームとジュースでの戦いを制した瞬間、園田はコートに倒れ込んでガッツポーズを連発。スタンドでずっと声を出して応援し続けたバード・ジャパンのメンバーも抱き合って喜んだ。まるで優勝したかのような雰囲気が、この試合の苦しさを物語っていた。

各国のトップが争う大会にふさわしく、第1試合から1時間半に及ぶ大熱戦となった。第1ゲームは相手の強打を受けるだけの防戦一方。1度もリードを奪えず、13-21であっさり奪われた。第2ゲームは17-12と5点のリードを奪うも終盤に追い付かれた。園田のスマッシュが相手の好レシーブによりなかなか決まらず、ジュースに入ってからは、取っては取られる我慢の展開。相手の連続強打を必死に返し、チャンスが来るのを待った。33分かかったこのゲームを26-24で制し、タイに持ち込んだ。

流れをつかんだかに思えた第3ゲームも終盤に4連続ポイントを奪われジュースに持ち込まれた。長いラリーが毎回続き、普段はコート上であまり話さない2人も声を掛け合い、お互いを鼓舞する姿もあった。相手選手が流血するアクシデントもあったが、集中力を切らさず、最後は園田のこん身のスマッシュで粘る相手をねじ伏せ、23-21で勝利。奥原、桃田と男女シングルスのエースに最高の形でバトンをつないだ。

先月末から東京オリンピック(五輪)出場をかけた争いがスタート。世界選手権に並ぶ格付けの今大会は団体戦ながら獲得ポイントも高く、選手にとって重要な大会となる。そんな中、バード・ジャパンの主将を務める嘉村は「やることは変わらずに、チーム全体で戦っていかないといけない。何かあれば後ろを見て、チームの顔を見てプレーもできる。自分はキャプテンなのでみんなでやれるようなスタイルを作っていきたい」と話していた。さらにリーグ戦のタイ戦に続いて、第1試合に登場したソノカムペアは、チームに勢いを付ける重要な役割も担った。嘉村は「男子ダブルスが一本取ることで、勝率というのが上がるので、すごく大事な部分にいる」と語っていたように、チームに大きな1勝をもたらした。

過去最高は準優勝。「朴監督を胴上げしたい」と言って乗り込んだ嘉村率いるバード・ジャパン。悲願の初優勝まであと2勝となった。【松熊洋介】