【ニューヨーク=桝田朗】日本人初のプロバスケットボールNBAのドラフト1巡目指名が確実な八村塁(21=ゴンザガ大)が、運命の地で夢をかなえる。

19年ドラフト前日の19日(日本時間20日)、八村は米ニューヨークで公式会見と、NBAケアーズといわれる社会貢献活動に参加した。12歳で家族と訪れた地は、初めてバスケットボールと出会った場所でもある。その地で八村はドラフト1巡目指名を待つ。

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ニューヨークは八村の人生を変えた運命の地だ。米国のスーパースター、マイケル・ジョーダンと出会ったバークレイズ・センターで、どのチームから指名を受けるのか-。運命の日を前に「信じられない。僕だけではなく、日本のバスケットにも大きなこと」と実感を込めた。

12歳の時、家族でニューヨークを旅行した。当時は野球をやっていたが、街中のいたるところにバスケットリングがある風景が心に刻まれた。また、ニューヨークは多種多様な民族が生活している。当時、ベナン人の父と日本人の母を持ち、その風貌からいじめにあっていた。そんな境遇からニューヨークへのあこがれも生まれた。

「ボクにとってそこがバスケの始まり。子どもたちがいろんなところでバスケットをしていることから何かしら影響を受けたと思う」

中学1年でバスケットを始めた。そして、NBAを目指すきっかけとなったのが、15年4月の「ジョーダン・クラシック」への参加だった。マイケル・ジョーダンが始めた高校年代の育成プログラム。今回のドラフト会場となったバークレイズ・センターで、世界選抜に選ばれ、ジョーダンと会ったことが、八村をNBAへかりたてた。「ここで、マイケル・ジョーダンに会ったこともすごく大きかった」と振り返る。中学からバスケットを始めた9年間を「順調というより普通。ボクが予想していた計画通り。いいステップアップになっています」と事もなげに言った。

記者会見は流ちょうな英語で海外メディアに応じた。歴史的瞬間を前に「NBAに入ってからが大事。プレーオフにいってプレーしたい」と先を見据えた。