男子エースの楢崎智亜(23=TEAM au)が初優勝を飾り、20年東京五輪代表に内定した。ボルダリングと合わせて2冠を達成。決勝は8人で争い、原田海(日新火災)が4位、楢崎の弟の明智(TEAM au)が5位、藤井快(TEAM au)が6位だった。女子は野口啓代(TEAM au)が同五輪代表に内定している。

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智亜選手は最初のスピードで勢いに乗りました。日本記録を更新するなど調子も良かったし、スピード専門のハイブリンと決勝まで対戦しない組み合わせにも恵まれました。振り返ると準決勝でベストタイムが同レベルのマエムに勝ったのが大きかった。2位スタートで気持ちも楽になったと思います。

ボルダリングは1回で完登した第1課題に、彼のよさが出ていました。他の選手が苦戦した三角形のハリボテのホールドは、トライを重ねると滑る。何度も持ち直すと滑り止めもなくなり持ちにくくなる。そこを彼は迷いなく切り抜けました。瞬発力と跳躍力は世界トップですが、あの決断力、ポジティブなメンタルも彼の持ち味です。

五輪でも金メダルの可能性は十分あります。スピードは5秒台まで出せる可能性がありますし、世界トップと少し差のあるリードもレベルを上げるはずです。ただ、この競技は指の皮がはがれるし、筋肉も疲労するので、毎日は壁を登れません。しかも、五輪は3種目あるので、練習の配分も重要になります。彼も今回の結果を通過点だと思っているはずです。(安間佐千 プロフリークライマー、12、13年W杯リード年間総合優勝)