東京オリンピック(五輪)の日本代表最終選考会を兼ねた大会で、女子C-1(22=カナディアンシングル)の佐藤彩乃(秋田病理組織細胞診研究センター)が初の東京五輪出場を決めた。

自身の決勝は129・87と奮わなかったが、ライバルだった八木が9位に終わり、ポイントレース争いでリードしていた佐藤の出場が決まった。レース後初選出の感想を聞かれた佐藤は「サポートしてくれた方々、応援してくれた人たちに感謝したい。緊張していて、納得いかないレースだったのでうれしいのと悔しいのがごちゃごちゃ。本番は悔しい気持ちにならないよう頑張りたい」と素直な気持ちを話した。

秋田・角館高卒業して1年後、修業のためスロベニアに渡った。もともとはすぐに行きたかったが親に心配かけないようにと1年待った。コーチにメールや手紙を書いて英語を覚えた。「いつの間にか身に付いてましたね」と笑顔で話した。1年後に親の許可を得て海を渡った。「好きなことだったし、ホームシックもなかった。思ったほど苦労しなかった」と語ったが、1度だけカヌーから離れた時期があった。高いレベルに合わず、ふさぎ込んでしまった。カヌーに乗ることはできず、はまっていたローラースケートをやっていたという。すぐに「またやりたい」と復活したが、その時の経験が今の成長につながっている。

意志が強く、練習にも手を抜かない。五輪争いもリードしていたが、心の余裕がないまま、最終選考を迎えた。「不安でしかなかった。ずっと緊張していた」。地元・秋田から駆けつけた家族やコーチから「大丈夫。自信持って」と言われ、リラックスしてレースに臨むことができた。「結果は出なかったけど楽しかった」。周りのサポートと自分の実力でつかんだ東京五輪で、今度は最高の結果を出して恩返しする。【松熊洋介】