NBAウィザーズのドラフト1巡目新人、八村塁(21)が23日(日本時間24日)にマーベリックスとの開幕戦を迎える。プレシーズンマッチでは主力として活躍し、スタメンデビューが濃厚だ。NBAでシーズンを通して戦った日本人選手はいない。果たして八村は通用するのか。「八村の挑戦」と題して3回にわたり、その可能性を検証する。第1回はプレーについて探る。

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近年のNBAは3点シュートの得点が全体の約30%を占める。ウィザーズも同様だ。八村は以前から「自分は中からも外からも打てる」と話していたが、9月のワールドカップ(W杯)では3試合で1本も決められなかった。昨季王者ラプターズの主力選手バンブリートは実力を認めた上でその必要性を説く。

バンブリート NBAレベルでは3点シュートを決める能力が重要であり、シュート力は必須。実力があればチャンスは来る。八村は何事も恐れない精神力が必要になる。

実際、ドラフト後にウィザーズはアドキンス・コーチを日本に送り込み、W杯までの期間、日本代表に同行しながらシュート練習を行った。そのかいあって、オープン戦では5試合で9本中4本決め、成功率44%と成果を出した。18-19シーズンの3点シュート成功率の最高はハリス(ネッツ)の47・4%。40%を超えれば十分に合格と言える。

シュート確率を上げればパスも回ってきて、得点が上がりプレー時間も増える。現在B1川崎ブレイブサンダースで活躍するファジーカスは、07年ドラフトでマーベリックスに指名され、翌年クリッパーズで20試合以上に出場した実績を持つ。日本代表のチームメートとして八村のプレーも熟知する。

ファジーカス 9番目に選ばれたということは、中心選手として起用される立場。塁は多様性があるので高いレベルでできるし、点も取れるので驚きはない。

一方で自身の経験もふまえ、プレーでの注意点を指摘する。

ファジーカス マインドセット(心理状態)が大事。代表でたまにふわっとして集中できていない時間帯がある。チームが何を求めているかを考えながらプレーすることが必要。

中心選手のウォールがケガで今季絶望のウィザーズは、エースのビールに得点を取らせるよう、八村はスペースを作る動きも必要。3点シュートの確率を上げ、得点源としての役割だけでなく、守備力でもチームに認めさせることが、成功への近道となる。【松熊洋介】