男子は不来方が3-0のストレートで盛岡誠桜を下し、2年ぶり13度目(全国大会は14度目)の優勝を決めた。

第1セットこそ28-26と苦戦したが、第2セットからはセッターの中田拓斗主将(3年)を中心にした多彩な攻撃と強力なブロックで、初優勝を狙った盛岡誠桜を振り切った。女子は盛岡誠桜が、総体予選決勝で敗れた一関一にリベンジし、6年連続25度目の優勝を果たした。男女の優勝チームは春高バレー(来年1月5日開幕、東京・調布市武蔵野の森総合スポーツプラザ)に出場する。

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第1セット終盤に見せた落ち着きぶりが、不来方の成長を証明していた。今季県内無敗で迎えた大一番も、20-15から5連続ポイントを奪われる苦しい展開。前日の準決勝、第1セットを22-25で落とした一関修紅戦とダブりかけたが、中田主将は「競った場面でも焦らないで自分たちのプレーをしようと言い合った」。相手の191センチのエース今颯希(3年)のスパイクにも3枚ブロックで対応するなど、この日は最後まで浮足立たなかった。 夏のインターハイでは決勝トーナメント初戦で北海道科学大(北海道)に2-0で敗れた。第2セットはジュースの末、26-28で力尽きた。この日、レシーブ、アタックとオールラウンドの活躍を見せた佐藤生真(2年)は「1点の重みを感じた。どんな形でも1点をとり切らないと全国では戦えない」。これまでは他のチーム同様、スパイクが決まると全員でコートを走り回り喜んでいたが、今大会は違った。「ゲームの流れを考えながら次、次を考えようと。喜ぶよりもみんなで確認することが大事」と、常にプレーに集中した。2年ぶりの王者奪還にも派手に喜ぶ選手は皆無で、視線は先に向いていた。 今季就任したOBの高橋新哉監督(38)は「能力があるから勝つのではなく、当たり前のことを当たり前にやれるのが強いチーム。常にみんなで声をかけたりして、人間としても成長してほしい」と技術以上にコミュニケーションを大切にしてきた。受験準備で12人いた3年生は4人に減ったが、チーム力は落ちなかった。「もっともっとできる選手たちだと思う」と春高までにさらなる成長を期待する。「レシーブなどまだまだ甘いところがある。攻撃もバリエーションを増やして精度も上げていきたい」と中田主将は、ベスト8以上を目標に決意を新たにした。【野上伸悟】