柔道の17、18年世界選手権男子66キロ級覇者の阿部一二三(22=日体大)が「挑戦者」として、グランドスラム(GS)大阪大会(22~24日、丸善インテックアリーナ)に臨む。

20日、試合会場で行われた調整練習を公開し、組み手や試合を想定した足技などを約2時間入念に確認した。今夏の世界選手権準決勝で世界王者の丸山城志郎(26=ミキハウス)に敗れ、20年東京五輪代表争いでリードを許す展開となっている。22歳の実力者は「自分の気持ちを前面に出して、初めから全開でやりたい。(世界王者が背負う)赤ゼッケンでない悔しさはあるが、初心に戻って挑戦者の気持ちで挑む。とにかく勝つだけ」。

左足を負傷した世界選手権前よりも順調な仕上がりを強調し、「全体的な総合力アップを意識してきたのでそれを見せたい。自分自身の強さ、阿部一二三という存在を沢山の人に見せつけたい」と、静かに闘志を燃やした。

会場では、男子60キロ級と66キロ級代表が練習した。50人超の報道陣が集結し、東京五輪代表選考会でもある今大会の注目度の高さが伺えた。16年リオデジャネイロ五輪60キロ級銅メダルの高藤直寿(26=パーク24)や世界選手権銅メダルの永山竜樹(23=了徳寺大職)らも大勝負に向け、集中力を高めていた。

 

◆柔道の東京五輪代表選考 男女各7階級1人で、選手の準備期間確保を重視した「3段階」による選考で決める。(1)19年世界選手権優勝者がGS大阪大会を制し、強化委員会で出席者の3分の2以上の賛成で代表入りが決定(2)12月のマスターズ大会(中国)、来年2月のGSパリ大会、GSデュッセルドルフ大会終了時点で、強化委の3分の2以上が1、2番手の差が歴然としていると判断すれば代表選出(3)最終選考は来年4月の全日本選抜体重別選手権で、強化委の過半数の賛成で代表決定。