16年リオデジャネイロ五輪男子400メートル個人メドレー金メダル萩野公介(25=ブリヂストン)が、珍事で、激動の1年を締めくくった。今年最後の大会で200メートル背泳ぎ3組目に入ったが、1組、2組は全員棄権。さらに3組目も萩野以外は全員が棄権して1人で1分53秒31。さらに200メートル自由形7組も萩野以外が全員棄権して、1人のレースで1分45秒48だった。

萩野は「競技やっていて初めての経験です。珍しいというか。生後6カ月からベビースイミングをやっていますが、1人のレースは初めて。今後も、もうないと思いますよ」と苦笑いした。

同大会は予選、決勝などがなく、個人のタイムを計測する記録会。しかも2日間が全く同じ競技日程で行われている。エントリーした種目を、2日間のどちらで泳ぐか、または2日連続で泳ぐか、選手が自分で決められる。大会規模も、11月の東京都オープンなど全国大会レベルに比べて1/10とコンパクトだ。第1日の7日に自分の種目を泳いだ選手が、2日連続でタイム計測する必要はあまりない。

萩野は、7日の200メートル背泳ぎと自由形は回避して、最終日のこの日に回したため、文字通りの「独泳」となった。「第2日は大学生が出ないと聞いていたので1人もあるかなと。今日来たら(他の選手が)DNS(棄権)、DNS…となっていて。変わった経験でした」と笑った。

これで年内のレースは終了となった。2019年は春先の休養から8月に復帰。1カ月で24レース泳ぐなど、もがいてきた。激動の1年を漢字一字で表現するようにリクエストされて「標(しるべ)」「印(しるし)」「証(あかし)」と表現。「いろんなものが当てはまると思います。自分がいろいろ経験して、歩いてきた道は大切なものだったし、自分のものとして進んでいきたい」と振り返った。