全国大学選手権で3度の4強経験を持つ大体大が、2度目の2部降格を突きつけられた。前回は2部で3シーズンを戦い、昨季から1部に復帰。強力FWが伝統の「ヘラクレス軍団」だが、わずか2年で逆戻りとなった。

今季の苦悩を象徴する笛だった。0-7の前半24分、自陣中央のスクラム。押し込まれたFWの隣で、レフェリーが大体大の反則を示した。相手はボールを外に蹴り出し、ラインアウトを選択。1分後、最後尾で作られたモールを起点に、2本目のトライを許した。

大体大はかつて、元日本代表坂田好弘氏(77=現関西協会会長)が36年間指揮。現役時代に王国ニュージーランドで実力を認められた名将は、点取り屋のWTBだったからこそ「ラグビーはFW」と戦いの軸になるスクラム、モールの強化に魂を込めた。12年度で勇退し、後を継いだ中谷誠監督(59)は、今季の「弱み」を悔しげに振り返った。

「1つはスクラム。大事なところでペナルティーを犯し、シーズンを通しての課題になった」

この日、足が止まった後半に4トライを許し、地力の差を見せつけられた。今季の関西リーグで4連覇を果たした天理大は、1部6位と低迷した13年を機に、スクラム強化に乗りだした。華麗なBK攻撃が印象強い同大も、近年はFW強化に時間を費やす。スクラム、モールが代名詞の京産大はもちろん、他大学とのセットプレーの差は2部降格の大きな要因となった。

24点を追った後半38分。逆転が現実的ではない時間帯だったが、総攻撃はフランカー助田凌雅(4年=朝明)のトライにつながった。プロップに故障者が続出し、スクラム強化が遅れたことを悔やむ中谷監督は、強い口調で言い切った。

「最後まで諦めずに戦ってくれたことを、誇りに思います。体大はヘラクレス。スクラムをもう1回、強化したい。守りだけでは勝てない。スクラムは大事になる」

2部降格が決まった試合後、バックスタンドに頭を下げた選手たちへ、総立ちの観衆から「頑張れよ~!」と声援が送られた。復活への険しい道のりで、真価が問われていく。【松本航】