最後の球宴で変わらぬ輝きを放った。今季限りでの引退を表明しているレバンガ北海道の折茂武彦(49)が、現役ラストとなるオールスター戦に出場。B・BLACKの一員として先制点を挙げるなど14得点で、公約通りに通算9度目のMVPを獲得した。バスケットボール界を長く引っ張ってきたレジェンドが、地元開催の球宴の主役になった。

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宙を舞った。特別な夜の主役は49歳の折茂だった。14得点を挙げ、通算9度目のMVPを獲得。試合後に両チームの選手に胴上げされたレジェンドは「気持ちよかった。みんなの気持ちが伝わってきた」。オールスター初開催となった札幌に集まった5073人が、現役最年長選手の一挙手一投足に沸いた。

夢中で打った。試合開始直後の11秒。コート右でパスを受けると流れるようなジャンプショット。先制の2点シュートがリングに吸い込まれた。「みなさんが望んでいることは僕がシュートを決めること」。現役27年目、社長であり、チームの顔。昨年9月末に引退を発表してからは、取材やイベントで分刻みのスケジュールが続き、今季はリーグ戦全29試合で13試合出場のみ。それでも、ファン投票1位で選ばれ、期待に応えて見せた。

06年世界選手権など日本代表でともにプレーした仲間たちとの競演。竹内公輔(宇都宮)譲次(A東京)兄弟とのパスワークで盛り上げ、敵軍の富樫勇樹(千葉)との新旧日本代表マッチアップも実現した。竹内公が「年が離れててもいじられている。誰もが尊敬する」と語るレジェンドは「バスケの喜び、楽しさをもう1度感じられた。あっという間だった。最も印象に残るオールスターだった」と振り返った。

MVPで獲得した100万円は、公約通りに「今晩、全部使います」。レジェンドが考えるのはこれからのバスケ界の未来。「今の選手はバスケがうまい」と語り、観衆には「今シーズンでコートを去るが、(今後は)若い選手を中心になってやっていく。応援してやって欲しい」とお願いした。

「自分の中の歴史の1ページにしっかり刻みたい」。そう臨んだ最後の祭典を終え、折茂は言った。「花道を作ってくれたファンに感謝したい。北海道最高、北海道ありがとう」。尽くせない感謝を、最後までコートで見せていく。【浅水友輝】

◆試合前の「スキルズチャレンジ」に折茂のユニホームで出場した富樫勇樹(26=千葉) 折茂さんには似合うと言われ、今後(北海道への移籍)どう?とも言われました。

◆2年連続出場の桜井良太(36) (折茂について)最後のシュートを決めていれば、もっと良かったけどね。良い思い出になったし、一緒の舞台に立てて幸せだった。

◆BリーグオールスターMVP SNSによるファン投票によって選出される。試合終了後、会場とBリーグ公式Twitterで発表される候補選手の指定ハッシュタグをつけて投稿することで投票が可能。今大会は折茂の他、ライアン・ロシター(30=宇都宮)、富樫(26=千葉)、セバスチャン・サイズ(25=SR渋谷)の4候補だった。折茂は全体の79%の支持を集めて、日本リーグ時代から通算9度目のMVPに輝いた。