女子は新潟第一が2連覇を果たした。1-1で迎えた大将戦で小池優佳(1年)が開志国際の杉山沙羅(2年)に残り23秒、起死回生の内股を決めた。兄は大相撲の東幕下3枚目・王輝(23=錣山部屋)で姉陽菜さん(新潟第一出身)は4年前の個人無差別級の覇者(団体戦も優勝)。格闘技一家の末っ子は1年生で大きな「仕事」をやってのけた。男子は開志国際がV2。男女団体優勝校は3月21、22日に群馬で行われる全国大会に出場する。

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左足をはね上げた小池は、78キロの杉山を背中から畳にたたきつけた。試合時間残り23秒での一本。得意な内股で勝負をつけた。スタミナを使い果たし苦しそうだったが、全力を出し切った選手にふさわしい笑みも浮かべた。先鋒(せんぽう)と中堅の対戦が終了して1-1。大将戦も「片えり」で指導を2回取られ、劣勢の中、一瞬の投げ技。丸山剛広監督(39)は「残り1秒あれば逆転できると思っていた」と大将の1年生をたたえた。

「絶対勝ちたいという気持ちで(技を)掛けることができた」と小池は声を弾ませた。15年度の個人無差別級チャンプで団体Vを決めている姉陽菜さんからはLINEで「負けたら許さない」という愛のムチをもらっていた。だからこそ最終盤にパワーをさく裂させた。開始から組み手争いは後手に回っていた。だが後半は丸山監督の声に開き直った。「奥をたたいていってみろと言われた。勇気を出して自分から奥襟を取っていったら内股が決まった」。消耗が激しい試合中にも指揮官の声を聞き取る冷静さを持っていた。

この日、大相撲・東幕下3枚目で奮闘する王輝が今場所初白星(1勝3敗)を飾った。尊敬する兄には故障した時に練習法と心構えのアドバイスを伝授されていた。関川中3年時に右膝を脱臼したが「ケガはつきもの」という兄から膝の周囲を強化するトレーニングを教えてもらった。「17キロの重りを背負ってスクワットを何回もやり、周囲の筋肉をつけた」。強い下半身はリハビリトレーニングで培った。

「団体戦で全国大会に行きたくて新潟第一に入った」。団体での目標はクリアし、今日19日は個人無差別に挑む。勝てば姉の成績に1年生で並ぶ。【涌井幹雄】