【ソルトレークシティー=矢内由美子】男子団体追い抜きでウイリアムソン師円(24)、土屋陸(22=ともに日本電産サンキョー)、一戸誠太郎(24=ANA)が組んだ日本が3分36秒42の日本記録を出し、この種目で初の表彰台となる銀メダルを獲得した。優勝は3分34秒68の世界記録を出したオランダ。

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世界一の追い抜き娘たちの陰でもがき続けた男子が、とうとう表彰台に上がった。美しいワンラインやロスのない先頭交代は“女子顔負け”。先に滑って世界記録を出していたオランダを上回るペースで前半5周を滑ると、残り3周も最後まで粘って2位になり、笑顔の輪が広がった。

高校3年から追い抜きメンバー入りして7年目のウイリアムソンが「やっと世界選手権のメダルを取れてうれしい」としみじみ言えば、ウイリアムソンと高校で同窓だった一戸も「いつか女子に勝ってやるぞと思っていた。ここまで来たと示すことができた。大きな1歩」と胸を張った。

W杯で2度優勝するなど年々力をつけてきた日本男子だが、世界選手権や五輪では表彰台に上がることはかなわなかった。今回初めて分厚い壁を突き破ることができた要因は、スピード豊かな土屋陸の加入だ。この日のレースでもスタートから1・75周まで先頭を任される大役。そこからの2周は一戸が先頭を滑り、3番手のウイリアムソンも巧みな先頭交代で前に出た。

チームでは徐々に3人のキャラクターが定まっている。経験豊富なウイリアムソンがリーダー。実力で長い距離を引っ張るのが一戸。そして若い土屋陸が2人を突き上げる。チームは今、互いが高め合う良い状態だ。

北京五輪まで2年。もう1つ上がるには個の力の向上が不可欠だ。終盤に先頭に立ったときにスピードを落とした土屋陸が「後ろについたときに力を回復させられるようにしないと」と言うなど、それぞれが課題を持っているところにも期待が膨らむ。女子だけじゃない日本。追い抜きメンズが存在感をアピールした。