【デュッセルドルフ(ドイツ)21日=峯岸佑樹】柔道の東京五輪代表選考会の1つ、グランドスラム(GS)デュッセルドルフ大会第2日の22日は、16年リオデジャネイロ五輪男子73キロ級金メダルの大野将平(28=旭化成)が登場する。絶対的な強さで優勝し、2度目の集大成とする東京五輪の代表切符をつかみ取る。

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28歳の最強王者は、「集中・我慢・執念」を掲げ、自身を厳しく律して堂々と畳の上に立つ。「自分の柔道を貫き、代表権を勝ち取る。リオ五輪は圧倒的だったが、東京五輪は絶対的な強さで勝つ」。豪快な投げ技と、そのたたずまいから海外で「サムライ」とも呼ばれる大野は、こう気合を入れる。

18年アジア大会以降、負けなしで国内外5連勝と揺るぎない強さを示す。昨年8月の世界選手権は、会場の日本武道館に衝撃を与えた。海外の強豪を豪快に投げ飛ばし、6試合全て一本勝ちで3度目の世界王者となった。真っ向から組み合う正統派で、本来は右組みだが、今や左右にこだわらない。技の破壊力と防御面の充実も高まり、隙がなくどこからでも相手を畳に沈める。同11月のGS大阪大会を制すれば、五輪代表決定が濃厚だったが、左手人さし指の負傷で欠場した。

半年間、万全な準備を進め、五輪選考の最後の国際大会に臨む。今大会を制すれば、27日の全日本柔道連盟の強化委員会で五輪代表に選出される可能性が高い。東京五輪を「2度目の集大成」と位置づけ、再び頂点を狙う最強王者。男子では日本史上4人目となる五輪連覇へ、着実に歩みを進める。

◆大野将平(おおの・しょうへい)1992年(平4)2月3日、山口県生まれ。7歳で柔道を始める。東京・弦巻中、世田谷学園高では柔道私塾「講道学舎」で鍛え、天理大に進学。13、15、19年世界選手権優勝。16年リオ五輪金メダル。右組み。得意技は大外刈りと内股。世界ランク6位。趣味は風呂とサウナ。170センチ。

◆柔道の東京五輪代表選考 男女各7階級1人で、選手の準備期間確保を重視した「3段階」による選考で決める。(1)19年世界選手権優勝者が同11月のGS大阪大会を制し、強化委員会で出席者の3分の2以上の賛成で代表入りが決定。女子78キロ超級の素根輝のみが内定(2)同12月のマスターズ大会(中国)、2月のGSパリ大会、GSデュッセルドルフ大会終了時点で、27日に行われる強化委の3分の2以上が1、2番手の差が歴然としていると判断すれば代表選出(3)最終選考は4月の全日本選抜体重別選手権で、強化委の過半数の賛成で代表決定する。