2連覇を目指す神戸製鋼が、開幕6連勝を飾った。東芝を57-0と圧倒。3戦連続で相手にトライを許さず、チームとしてトップリーグ初の東芝戦完封。

元ニュージーランド(NZ)代表の世界的SOダン・カーター(37)らを起点とし、攻めても9トライを挙げた。3トライ差以上のボーナスポイントも獲得し、首位パナソニックとは勝ち点2差の2位を堅持。次節は29日、同会場で日野と戦う。

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早々と名門の勢いを止めた。14-0の前半22分。自陣深くまで攻め込まれた神戸製鋼は、WTBモエアキオラが1度は倒されながら前進。細かくパスをつなぐと、最後は19年W杯NZ代表ロックのレタリックが、204センチの巨体で走りきった。15人で守り、どこからでも攻める。フランカー橋本は「こんな点差に表れるとは、自分たちも思っていなかった」と目を丸めた。

開幕4連勝を果たした2日のNTTドコモ戦後、合言葉が生まれた。「1つ前のプレーから学べ」-。経験豊富なカーターらが呼びかけ、全員が状況に応じて最善の選択を考える意識を持つ。試合はもちろん、日々の練習では喫茶店でコーヒー片手に戦術を共有。統一された考えを3戦連続の失トライ0で証明し、ディロン・ヘッドコーチは「ゼロを刻めた。これ以上の結果はない」と胸を張った。

新型コロナウイルスの感染拡大が懸念される中、この日は2万3647人の観衆が訪れた。同会場におけるトップリーグ最多観客動員数を更新し、橋本は「感動した。たくさんの観客の前でできて、幸せに思う」と感謝の思いを込めた。王者の勢いが止まる気配は、見えてこない。【松本航】