新型コロナウイルス感染拡大の影響が、柔道界にも広がっている。

27日、東京・講道館で行われた全日本柔道連盟(全柔連)強化委員会では、厳戒態勢が敷かれた。報道控室には約60席が用意され、記者やカメラマンら約180人が集結。控室はごった返し、入りきれず廊下まであふれていた。全柔連は新型コロナウイルス感染拡大への対応として、報道陣にマスクの着用と会見場への入室時に手をアルコール消毒することを事前にメールで要請した。37・5度以上の発熱や強いだるさなどがある人は、会見場への入室を「お断り」との警戒ぶりだった。

選手たちにも徐々に影響が出始めている。柔道は対人競技のため、練習相手を求めて、日々出稽古で鍛える。既に所属によっては、他の所属との練習を禁じているところもある。道場がない所属もあるため、そういった選手たちは、母校の大学などに稽古をお願いしているという。体重無差別で争う全日本選手権の予選を兼ねる関東選手権(3月1日、千葉)などは、無観客での実施が決定。ある女子選手は「マスク着用で稽古はできないし、寝技練習では相手と密着するし、正直防ぎようはない。1人でも感染者が出たら、一気に拡大しそう」と不安を口にした。ある男子選手は「4月の全日本選手権は(日本武道館が改修工事のため)千葉ポートアリーナだし、さらに無観客となったら、注目度も低くなって、選手のモチベーションが下がりそう」と心配していた。

全柔連の山下泰裕会長(62)は対応策として、今後の国内大会での無観客開催などを含め「具体的な検討には入っていないが、検討していく必要がある」と話していた。協議はこれからで、状況をみながら対応策を考えていくという。

4月には、男子66キロ級で19年世界王者の丸山城志郎(ミキハウス)と17、18年世界王者の阿部一二三(日体大)が争う東京五輪最終選考会となる全日本選抜体重別選手権(福岡)や、全日本女子選手権(横浜)、全日本選手権(千葉)などが控えている。