バスケットボール男子のBリーグ1部(B1)大阪エヴェッサは2日、選手1人の新型コロナウイルス感染と入院を発表した。Bリーグで初めての感染となった。当該選手とは別の5選手も3月24日、大阪市内でチーム外部7人と計12人で会食。その後、外部7人のうち1人の感染が判明し、大阪の全5選手も体調の異変を訴える事態となっている。2日までに選手、関係者の計10人が体調不良を申し出ており、今後の検査次第ではクラスター(小規模な集団感染)となる可能性が出てきた。

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関西で日々確認されていたプロスポーツ関係者の感染が、Bリーグにも及んだ。オンラインでの記者会見に臨んだ阿部達也ゼネラルマネジャー(GM)は「3月11日より検温と体調の報告、不要不急の外出の制限など段階的に注意喚起していた。選手に強いストレスがかからないよう、ギリギリのラインで対策していた」と説明し、頭を下げた。

プライバシー保護の観点で、匿名となった当該選手は現在は入院中。感染経路は確認中だ。一方、当該選手とは別の5選手が、24日に知人ら外部7人と会食。そのうち外部1人の感染が28日に確認されたという。5選手はタイミングこそ違うが、全員が体調不良を申告。安井直樹代表はPCR検査について、保健所からの指示を待つ現状とし「こちらではコントロールできない」。その上で「濃厚接触をしていたと思われるメンバーに関しては受けさせたい」と意向を示した。

前日1日には選手、関係者の10人が体調不良を訴え、2日時点でその数は9人。3月下旬以降、徐々に広範囲となっており、今後の検査結果次第ではチームが「クラスター」となる可能性もある。5選手が会食をしていた24日時点では「外出自粛要請」。練習施設への立ち入り禁止となった28日以降は、業務命令として「外出厳禁」にしており、現在は約30人の選手、スタッフらが自宅待機中だ。

Bリーグは3月27日に今季の残り全試合中止を発表。チャンピオンシップ出場は幻となったが、大阪は26勝15敗で西地区2位と好調を維持していた。チームは大阪市の指導の下、自主的に活動本拠地の消毒などを実施。最近関わりのあった他チームには当該選手の実名を出しながら、情報共有を行っていく。

だが、新型コロナウイルスが及ぼす、今後の影響は誰にも分からない。阿部GMは「今回このようなご報告となり、クラブ一同、心を痛めています。まずは当該選手の1日も早い回復を祈っています。まだまだ体調が優れないメンバーもいますので、全員の健康を第一に考えていきます」。NBAに続き、日本のバスケット界も見えない壁に直面した。【松本航】

▽Bリーグ大河正明チェアマン 体調不良の選手の容体がこれ以上悪化しないこと、そして早期の回復を祈っております。

<Bリーグ大阪の経過>

◆3月27日 Bリーグが今季の残り全試合中止を決定。大阪は練習を行わず、アリーナに集合。のちに陽性反応が出る当該選手は37・5度の発熱で自宅待機。他の1選手も37・5度の発熱で自宅待機

◆28日 当該選手は大阪府内の病院でインフルエンザの検査を行って陰性。経過観察。夜は39・6度まで熱が上がる。他の選手が夕方に体調不良と発熱を訴える。複数選手が自主練習したい意向を示していたが、チームは全施設への立ち入り禁止を通達。

◆29日 当該選手には発熱、せきがあり、チームドクターに経過を報告。全ての選手とチーム関係者が自宅待機。他の複数の選手が発熱を訴える

◆30日 当該選手が28日とは別の大阪府内の病院でPCR検査。夜に嗅覚の異常を感じる。前日に発熱報告のあった他の複数選手の熱は下がる

◆31日 熱が下がった1選手の嗅覚異常を確認

◆4月1日 当該選手がPCR検査の結果、陽性反応

<関西のプロスポーツと新型コロナウイルス>

◆3月26日 プロ野球・阪神の藤浪晋太郎投手がPCR検査で陽性反応

◆27日 阪神が伊藤隼太外野手、長坂拳弥捕手も26日深夜に陽性反応が出たと発表

◆31日 Jリーグ神戸のDF酒井高徳に陽性反応

◆4月1日 C大阪GK永石拓海、神戸のトップチーム関係者1人に陽性反応

◆2日 Bリーグ大阪が前日1日に1選手の陽性反応が出たと発表。安井代表は「行動履歴を確認したところ、それ(他競技で陽性が出た選手との交流)はございませんでした」。Jリーグ神戸のトップチーム関係者1人にも陽性反応

▼大阪エヴェッサ 05年に設立され、bjリーグ初年度の05~06年シーズンから3連覇を達成。Bリーグとなった16~17年からB1西地区を戦い、今季は同地区2位。チーム名のエヴェッサは商売繁盛の神様「戎(えびす)様」を大阪では親しみを込めて「えべっさん」と呼ぶことから、街を活気づける存在になるため命名。本拠地は「おおきにアリーナ舞洲」。チームカラーは赤、黒、金。