バレーボール界の現役選手やOB、OGが協力する「デリバレープロジェクト」の弁当が、関西近郊の医療機関に届けられている。

新型コロナウイルス感染拡大防止へ奮闘する医療従事者に弁当を無償提供しようと、元女子Vリーガー選手で現在は大阪市内でスペイン料理店などを営む米村信子さん(36)が企画。大阪市立総合医療センターなど10カ所を回り、今週末までに1500食余りを配達する。

元Vリーガーの米村さんが手掛けた豪華弁当が、医療従事者の心を和ませている。老舗ウナギ屋が作るウナギのかば焼き、居酒屋店の鳥の唐揚げ、日ごとに異なる4種類の副菜など。当直勤務の人たちへ提供できるよう、朝方から毎日150食近くの仕込み作業をしている。「配達するとすごく喜ばれて、目に涙を浮かべて感謝してくれる方もいました」と振り返る。

Vリーグのシーガルズ(現・岡山シーガルズ)で9年間プレーした米村さんは、引退後に好きだった料理の世界へ飛び込んだ。オーナー兼シェフとして2012年に大阪市内でスペイン料理店を開業。多くの訪日客が利用するゲストハウス2軒も経営している。

新型コロナで経営状況に大きな影響を及ぼしているが、米村さんは医療従事者の奮闘ぶりを知り何かできないか考えるようになった。「人命のために必死となって戦う人たちに、感謝の思いを伝えたい」と弁当の無償提供を発案。ボールをつなぐように思いをつなぐ願いを込め「デリバレー」をプロジェクト名にした。

OB、OGらの私物を持ち寄ったチャリティーオークションを5月の大型連休中に実施。元日本女子代表の木村沙織さん、大山加奈さんや元日本男子代表の加藤陽一さんなど47人が協力し、150万円余りを集めた。材料費や協力する7店舗への謝礼に当てた。

オークション終了後、弁当を配達する医療機関がなかなか決まらず大変だった。それでも米村さんは協力してくれた医療機関や料理を作ってくれた店への感謝を惜しまない。「最初に配達したときの達成感は忘れられません」。今回の企画を通じてできたバレーボール界のつながりを元に、今後もさまざまな支援をしていくつもりだ。

【平山連】