男子テニスで、日本のエース、錦織圭(30=日清食品)らの提案が却下される!? 世界のテニス界が、新型コロナウイルス感染拡大からの再始動を巡って揺れている。世界のツアーは7月末まで開催されないことが決まっているが、6月10日に、再開に向け、男子ツアーを統括するATP(プロテニス選手協会)、全米テニス協会、約400人の男子選手とコーチら関係者がWeb会議を行ったという。11日付のニューヨーク・タイムズ(NYT)電子版が報じた。

NYTによると、8月31日から予定されている4大大会の全米は、シングルスの予選を行わず、ダブルスに出場できるペアは通常の64組から24組に削減、無観客などの開催案が出ている。また通常、マンハッタン地区に用意される選手ホテルは、同地区外の空港近くとなり、選手が帯同できるスタッフは1人だけという条件も提案されたという。

男子世界1位のジョコビッチ(セルビア)、同2位のナダル(スペイン)は、この制限や健康を理由に「出場は厳しい」と懸念を表明。女子世界2位のハレプ(ルーマニア)も同様の意見のようだ。しかし、厚遇を望むトップ選手とは異なり、下位選手からは、賞金を稼ぐ場としての再開が望まれているという。

その中で、全米に出場できない選手は世界ランキングのポイントを稼ぐ大会がなく、その不公平さから、錦織ら何人かの選手は、今年の全米に世界ランキングのポイントを付与しないことを提案したという。しかし、主催の全米テニス協会は、それではエキシビション(非公式)大会になってしまい、テレビ中継局も認めないだろうとして、提案を却下したと言われる。

米国では、ゴルフツアーのPGAが無観客で再開。バスケットのNBAも7月末の再開を決めている。テニスは世界中の選手を相手にする個人競技で、全米は2週間の開催だ。米国は、世界最大の200万人以上の感染者数で、死者も11万人を超えている。収束の兆しが見え始めているとはいえ、各国の渡航制限もある。加えて、人種差別に対するデモも発生している。

全米テニス協会は来週にも全米の開催可否などを決断するという。5月24日から予定されていた全仏は9月下旬への延期を望んでおり、今季の残りのツアー再編成など、世界のテニス界は再始動に向け難題が山積み。10月5日から予定されている楽天ジャパンオープン(東京・有明)も、大きな影響を受けそうだ。