全国制覇58回の高校バスケットボール界の名門、能代工業(秋田県能代市)の名前が消えることが7日、正式に決まった。この日午後、開かれた秋田県議会で校名変更の条例案が可決・成立した。能代工は来春、能代西と統合され、「能代科学技術高校」が新しい校名になる。

漫画「スラムダンク」の「山王工業」のモデルになった能代工は1960年(昭35)、監督に就任した故加藤広志氏(2018年死去)の指導で67年、埼玉国体で初優勝すると、速攻を武器に高校総体を22回、国体を17回、ウインターカップを19回制覇。年間3冠も9度達成し、能代を「バスケの街」にした。OBには日本人初のNBAプレーヤーになった田臥勇太(39)らがいる。

留学生中心のチーム編成を行う私立が躍進し、日本一は07年の秋田国体が最後になったが、今春、農業系の能代西と統合し、新校名案として能代科学技術が浮上すると、能代工の名を残そうと校名を「能代工農」にするなど再考を求める署名運動がネットを通じて広がっていた。県議会にも陳情書、嘆願書が寄せられていた。

公立のスポーツ名門校は統合で校名変更が相次いでいる。サッカーで全国優勝12回の清水商(静岡市)が13年、清水桜が丘に、ラグビーではドラマ「スクール☆ウォーズ」のモデルとなった花園優勝4回の伏見工(京都市)が16年、京都工学院に変わっている。