日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長(63)が5日、部員の頭につまようじを刺すなど信じ難い行為が明らかになった日大ラグビー部の元ヘッドコーチについて「それでスポーツをやる資格があるのか」と厳しく批判した。

山下会長は13年、全柔連で暴力、パワハラ行為が問題となった際、暴力撲滅プロジェクトを発案して同リーダーを務めた。同年6月にJOC理事に就任した際には「真っ先にやったのは暴力撲滅と代表選考の透明化だった」。それだけに怒りでほおを引きつらせた。

「選手の時に暴力、体罰を用いた指導を受けて、自分が指導者になっても、それに対する認識が甘すぎる人間がいる。言葉でちゃんと選手に正しく伝える、その能力を持ち合わせてない。指導者は選手以上に勉強しないといけない。言葉は強くなるが、勉強不足、世間知らずだ。決して許されることじゃない」

18年には日大アメフト部の悪質タックル問題、日本ボクシング連盟の迷走などスポーツ界に不祥事が続発。その反省から国内競技団体が守るべき指針「ガバナンスコード」を制定した。「スポーツ界を挙げて体罰、暴力、いじめをなくそうとしているところ」と山下会長。その最中に、再び暴行問題が表面化して「スポーツとは何ですか? ルールを守って、仲間たちと力を合わせて、相手に対する尊敬を失わないこと。それ(問題行動)でスポーツをやる資格があるのか」と切り捨てた。