野中生萌(23=XFLAG)は2位で準決勝へ駒を進めた。

1本目のルートを完登し、「伸び伸び」登ることを意識した。2本目も安定した登りを披露し「無観客で盛り上がりにかけるけど、多くの人が見てないので解放されて、いつもより緊張感もなかった。リラックスできたことが良かった」と、笑みを浮かべながら満足げに振り返った。

コロナ禍により、クライミングジムが閉まり、1カ月程度登れなかった。不安や葛藤もあり、万全な状態ではないが、自粛期間中に自身と向き合う時間が増えて全てをポジティブに捉えるようになった。「自分がコントロールできること、できないことを考えた。(コロナのように)コントロールできないことは考えず、コントロールできる部分のみにフォーカスしたら気持ちが楽になった」。

東京五輪の代表選考問題や国際大会の代表派遣など先行き不透明な状況が続くが、野中は「今」を楽しむ。「これが今年最後の大会になるかもしれない。1つ1つ、いろんな瞬間を楽しみたい」。23歳のクライマーは、半年ぶりの実戦を満喫している。