テニスの4大大会、全米オープン(米ニューヨーク)で2年ぶり2度目の優勝を成し遂げた大坂なおみ(22=日清食品)が13日(日本時間14日)に発表された最新世界ランキングで9位から3位に急浮上した。今大会は勝ち上がるたび、黒人差別に抗議する口元の黒いマスクでメッセージを発信。多方面からの注目で強い影響力を持つ女性アスリートになりつつある。昨年の全豪オープン以来3度目の4大大会制覇は女子の李娜(リー・ナ=中国)を抜いてアジア勢単独最多となり、世界ランク1位に13週在位の条件と合わせ、殿堂入りの資格も満たした。

大坂が3位に復帰するのは今年の1月13日の週以来、238日ぶりとなる。大坂の総合得点は5780点で、2位のハレプ(ルーマニア)が6356点。その差は576点。1位のバーティ(オーストラリア)は8717点。昨年優勝のバーティは27日開幕の全仏欠場を表明しており、同得点は変化しない。

全仏での1位復帰は無理だが、2位奪回は十分に可能だ。全仏は優勝で得られるポイントが2000点で、昨年の大会で大坂が獲得したのは3回戦敗退で130点のみ。もし今年出場し優勝すれば、その差1870点が上積みされる。ハレプは昨年8強で、4強以上に勝ち上がらないと上積みはない。

優勝から一夜明け、恒例の女王の写真撮影会に臨んだ。例年、観光名所で行うのが常だ。初優勝した2年前はロックフェラーセンターで行ったが、今年は感染症対策のため会場での撮影。2年前はコムデギャルソンの純白のワンピースをまとった。今回は対照的にエスニック調。カラフルでエキゾチックな衣装だった。

その写真とともに、自身のSNSに「祖先に感謝したい。彼らから受け継いだ血が体中を巡っていると感じた。それが、負けるわけにはいかないと思わせてくれた」とコメントした。ハイチ出身の父、日本人の母のもとに生まれ、米国育ちで、今も拠点としている。まさに、ダイバーシティ(多様性)の象徴といえる。

今年の5月に、米経済誌のフォーブスが発表した大坂の年収は、契約などの副収入を含めると3740万ドル(約41億円)。あのシャラポワ(ロシア)さえ上回り、女子アスリート史上最高額を更新し世界で最も稼ぐ女子アスリートとなった。また、今回の7枚のマスクなど、人種差別への抗議で、オピニオンリーダー的な立ち位置も加わった。まさに、女子アスリートのアイコン的存在になろうとしている。