14年ソチ・オリンピック(五輪)団体戦銅メダルのグレーシー・ゴールド(25=米国)が、2季ぶりとなるグランプリ(GP)シリーズ復帰を果たした。

今大会に出場する選手の中で、1番手で登場。2WEIが歌う「Survivor」を使用したSPを披露した。冒頭のルッツ、後半のフリップがともに予定した3回転が2回転に。ステップなども慎重さを感じさせたが、演技を終えると引き締まった表情を見せた。得点は46・36点で12位だった。

14年ソチ五輪直前、全米のスポーツ専門誌「スポーツイラストレイテッド」は、ソチ特集の表紙に全競技の選手の中からゴールドを選んだ。個人戦は惜しくも4位になったが、18年平昌五輪へ向け、世界のフィギュア界の中心選手になると思われていた。

しかし、出場4度目で初めてSP首位に立った16年世界選手権が事態を変える。フリーでジャンプの失敗が重なり4位に終わると、そのショックが大きく、その後にうつ症状に襲われるようになった。ソチ前から行ってきた過度なダイエットの影響も重なり、不安障がい、摂食障がいも併発した。平昌五輪シーズンだった17年GPシリーズは出場を取りやめ。18年のロシア杯はショートプログラム(SP)で37・51点の10位となり、棄権していた。

それでも、あきらめることなく地道に練習に励み、19年の地区選手権で全米選手権出場の権利を勝ち取る。1月の本番では女子フリーを終えると、観客からスタンディングオベーションが。「観客の皆さんが終わりに近づくと、立ち上がってくれました。まるでエネルギーを与えてくれているようでした」と感謝する姿があった。

それから9カ月、2季ぶりのGPシリーズの舞台に帰ってきた。

今季のGPシリーズは新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、変則開催で行われる。「1人1大会」「母国または練習拠点国(エリア)」に出場が制限される中で迎えた第1戦になる。