慶大が昨年の不祥事からの再出発を白星で飾った。3プレー目にDB渡辺が、30ヤードのインターセプトリターンTDで先制した。その後もキッキングや守備がチャンスをつくり、得点を重ねていった。国士大に終盤2TDパスを奪われたが、27-16で今季初戦に勝利した。

慶大は不祥事のために昨年10月、リーグ戦途中で無期限で活動自粛とした。4戦目から棄権で最下位扱いとなり、今季はTOP8からBIG8に降格した。3月に自粛を解除して1年ぶりの試合で、新チームでの初戦。今季から指揮を執る前田監督は「ホッとした。勝ててよかった」と安堵(あんど)した。

自粛中に再発防止へ再生プロジェクトを立ち上げた。前田監督はさくら銀行(現三井住友銀行)や母校でのコーチ経験もあり、辞任した前監督の後任として白羽の矢がたった。腹をくくって、銀行を退職しての就任だった。「学生が自主性を持って取り組むチーム作りをしている。やらされるではなく、自分たちでやる。ゼロベースから学生に考えさせている」という。

試合は最高の出だしだったが、3TD、2FGの27点にとどまった。攻撃ではパスとランで2TDも、パントリターンとインターセプトからのもの。QBには2年以下の3人を起用したが、ターンオーバー2回、反則などのミスでリズムをつかめず。獲得距離は国士大より少なかった。

前田監督は「QBは若く、初めての試合のようなもの。実戦経験が少ないので」と予想はしていた。一方で「キッキングで試合を支配しようと言ってきた。春から重点に練習した成果はあった。守備も安定していた」と手応えもあった。1年も積極的に起用し、ベンチには活気があった。

今季は8校が2ブロックでリーグ戦後、同順位同士の順位決定戦となる。優勝校は北海道と東北の優勝校によるパインボウルの勝者と、12月20日にホワイトボウル2020で対戦する。今季は昇格、降格はなく、TOP8への復帰は22年以降となる。前田監督は「ボウルゲームに勝つこと」を新生ユニコーンズの目標に据え、甲子園ボウル初代王者の歴史をつないでいくつもりだ。