テニスの全豪オープンに出場するため到着したオーストラリア・メルボルンの空港で入国を拒否された男子テニスで世界ランキング1位のノバク・ジョコビッチ(34=セルビア)が7日、自身のインスタグラム公式アカウントのストーリーズを更新し、世界の人々の支援に感謝するメッセージを投稿した。

5日に同国に到着したジョコビッチは、入国に際して医学的な理由での新型コロナウイルスワクチン接種免除を証明することができず、ビザが取り消され、入国管理局によって身柄を拘束されている。

ジョコビッチは現在、メルボルンにある移民収容所に滞在していると英BBCテレビが伝えているが、「いつも応援してくれている世界中の人々に感謝している。私はそれを感じることができ、とても感謝している」と入国拒否後初めての肉声を発表した。10日に裁判所が国外退去の可否を決定すると伝えられている。地元メディアによると、施設の前にはセルビアの国旗を掲げた十数人のファンらが集まり、入国を拒否した政府を批判する抗議デモを行っているという。

以前から新型コロナワクチン接種に反対の立場を示しているジョコビッチの入国を巡っては、成人国民の9割がワクチン接種を終えているオーストラリアで「特別扱いだ」と人々の猛反発を買っており、同国のジョイス副首相は「金持ちが自分たちは法律を超越していると考えている。真実を語っていないのであれば国外退去されるべき」と発言。これに対してセルビアのヴチッチ大統領は、「政治的な魔女狩りの犠牲者」と述べ、嫌がらせを受けていると批判するなど国際問題に発展している。

ジョコビッチが滞在している施設はオーストラリア政府が新型コロナウイルス感染者の隔離施設として使っていたホテルで、現在は難民や亡命希望者の収容施設として利用されており、非常に汚く食事もひどい劣悪な環境であると米CNNは伝えている。同局によるとジョコビッチと6日に短時間会話した母親は、「息子は囚人として留め置かれている。人間的な扱いではない。すでに借りているもっと良いホテルに移るチャンスを与える気は一切ないようだ」などとオーストラリア政府の対応を批判しているという。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)